2019 Fiscal Year Research-status Report
江戸幕府歌学方北村家および初代北村季吟に関する基礎的研究
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19K13060
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Research Institution | Tenri University |
Principal Investigator |
宮川 真弥 天理大学, 図書館, 司書研究員 (90802398)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 北村季吟 / 歌学方 / 北村家 / 和学 / 誹諧 / 書誌学 / 伝記 |
Outline of Annual Research Achievements |
北村季吟は江戸時代前期の古典学者であり、『源氏物語』を対象とした『湖月抄』など、数多くの著名な注釈書を公刊した人物である。また、誹諧師としては松永貞徳門下の有力者として、弟子には松尾芭蕉などを持ち、後世にも尊ばれた。さらに、季吟は晩年、徳川綱吉によって江戸幕府の初代歌学方に任ぜられた。以降、北村家が歌学方を世襲することとなる。 季吟は近江国北村(現・滋賀県野洲市北)を郷里とし、京都で出生・生育し、晩年には江戸に移っていることも一因となり、関係史資料が全国に点在している。そのため、史資料の収集に当たっては、各地の目録やデータベースに基づき、一点一点を現地に赴き調査する必要がある。野村貴次氏や榎坂浩尚氏の調査に加え、申請者のこれまでの調査により、相当数の史資料の所在が明らかになりつつあるが、なお足らざる点を補い、初代幕府歌学方・北村季吟、およびその後裔の各人について、全国の史資料を博捜することにより、季吟以降の北村家の伝記的事実を明らかにすることが本研究課題の主目的である。 国内最大級の古典籍関連データベースである国文学研究資料館の日本古典籍総合目録データベース所載の季吟関連資料については、すでに調査をおおむね終えた。 今年度は本研究課題の初年度に当たり、既調査資料の精査ならびに未調査資料の博捜を中心に行い、新出資料も含めて、着実に蓄積がなされつつある。また、大量に残存する季吟関連整版本を分析するための書誌学的研究として、整版本の版種弁別に関わるプログラムの開発を行い、一般に無償公開した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
おおむね当初予定通りの進捗であったものの、年度末に新型コロナウイルスの感染拡大がおこり、いくらかの調査を中止・延期せざるを得なかった。
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Strategy for Future Research Activity |
上述の通り、日本古典籍総合目録データベース所載の季吟関連資料についてはおおむね調査を終えたため、今後は当該データベースに未収載の各所蔵機関の目録を中心に季吟関係資料を精査し、個別資料の調査・収集・研究を行う予定である。 今後も今年度と同様、北村季吟およびそれ以降の北村家各人の事績を明らかにすべく、各種関連資料の博捜・収集・分析・研究を行い、「書簡」「和歌」「誹諧」資料などを中心に、資料集成ならびに分析を継続する。 2020年度以降、新型コロナウイルスの感染拡大の影響により、資料調査の予定が見通せない状況である。既に収集した資料の詳細な分析を進めつつ、資料調査の再開が可能となった際に迅速に動き出せるよう、資料の所在把握と関連資料の洗い出しにつとめたい。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染拡大の影響で、年度末に予定していた学会参加が取りやめになったために次年度使用額が生じた。次年度も収束が見通せず、旅費支出が中心である本課題においては、さらに次々年度までの繰越が見込まれる。事態の収束次第、調査を実行できるように事前準備に専念する。
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Remarks |
宮川真弥「北村季吟と誹諧」(第64回北村季吟顕彰記念事業、2019年6月15日、北村季吟顕彰会、講師、招待有) 宮川真弥「デジタル画像の匡郭間距離自動計測による版種弁別法」(講習会 国語国文学史料へのデジタルアプローチ、2019年9月16日、デジタル史料研究会、講師、招待有) 宮川真弥「シンポジウム マシンと読むくずし字―デジタル翻刻の未来像」(2020年2月8日、應義塾大学教養研究センター、司会)
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