2019 Fiscal Year Research-status Report
奈良県吉野郡川上村内所蔵資料の調査研究―奈良県南部の寺社ネットワークの解明―
Project/Area Number |
19K13075
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Research Institution | Osaka Institute of Technology |
Principal Investigator |
横山 恵理 大阪工業大学, 情報科学部, 講師 (70781425)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 奈良県川上村 / 運川寺 / 寺社ネットワーク / 地域資料 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、奈良県吉野郡川上村の各機関に所蔵される資料の分析を中心に行うものである。川上村内所蔵資料は、多武峰神社や南法華寺(壺阪寺)等、奈良県南部の寺社圏を視野に入れて考察する必要があり、これら寺社圏を通しての制作背景や書写活動、人的資源の交流の実態を解明する。また、運川寺蔵『川上荘三十三霊場絵巻』のような新出資料紹介や蔵書の悉皆調査を実施する予定である。 本年度は、運川寺蔵『大般若経六〇〇巻』の一部調査を実施した。また、村内で新たに発見された地域資料700点の悉皆調査に着手した。現在、書誌情報の記録を進めているところである。本地域資料は、当該地区に存する寺社の信仰の歴史を解明する基礎となるものである。また、近世期の吉野町との人的交流や書物ネットワークを知る基礎資料も含まれている。特に保存されている版本は、その内容と地域の歴史が密接にかかわるものであり、近世期の当該地区で作品がいかに享受されたかを考察するてがかりになる。ただし、個人情報保護の観点から調査結果の公開には慎重にならざるを得ない。また、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、調査を中断せざるを得なかった。 村内所蔵資料については2寺社から調査許可を得ており、年度後半に調査予定であったが、新型コロナ感染拡大防止のため調査未着手の部分がある。調査中断にともない、調査結果の公開にも至ることができなかった。ただし、今後、新型コロナ感染が収束し、調査を継続することが可能となった場合には、所蔵者の許可が得られる範囲内で調査結果を公開することで内諾を得ている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度の情報収集結果は、研究計画に掲げた各テーマの結論を導き出せるものであると考えている。ただし、新型コロナ感染拡大防止のため、年度後半の調査を中断せざるをえなかった。研究成果報告の前提となる調査が中断しているため、評価は「やや遅れている」のレベルと言える。新型コロナ感染の状況を踏まえつつ、今後も調査を進めるとともに、本年度の調査に基づき、奈良県南部の寺社ネットワークの分析を行う予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
申請時の研究計画に、新たに村内で発見された地域資料調査を加え、年次計画通りに推進していく。ただし、新型コロナ感染拡大防止のため、現地での資料調査やフィールドワークが制限されることが懸念される。新型コロナ感染拡大防止の影響が続く場合には、閲覧可能とされる資料を用いて、研究を推進する予定である。
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