2019 Fiscal Year Research-status Report
芥川龍之介・菊池寛共訳『アリス物語』・『ピーターパン』に関する基礎的研究
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19K13080
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Research Institution | Ryukoku University |
Principal Investigator |
澤西 祐典 龍谷大学, 国際学部, 講師 (30771133)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 日本近代文学 / 比較文学 / 英文学 / 翻訳 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究計画に沿って、『小学生全集』の第二十八巻として、芥川龍之介・菊池寛の共訳名義で刊行された『アリス物語』(1927、興文社・文藝春秋社)について分析を行った。主として、ルイス・キャロル『不思議の国のアリス Alice's Adventure in Wonderland』(1865)の原文との比較および先行研究で下訳としての使用が指摘されている先行訳との比較調査を行った。そのほか、芥川旧蔵書等との照合も行い、初年度の研究活動を通して一定の研究成果を得られたが、所属研究機関の異動など、諸般の事情が重なり、研究成果の発表にまでは至らなかった。この初年度の研究成果については、翌年度の上半期に国際学会で発表したのち、学術誌への論文投稿を予定している。 くわえて、最終年度に予定している成果公表に向けて、関係各処と調整を進めており、おおむね順調に進んでいる。その過程で研究テーマについて、当初予定より広範な領域を包括することになり、成果を得た。また、本研究課題の対象である芥川・菊池の共訳名義で発表された『不思議の国のアリス』および『ピーターパン』が、ともにイギリスを代表する児童文学作品であることから、イギリス等との国際的な研究協力を視野に、関係研究機関との連携をはかり、基礎的な関係を構築することができた。こちらは新型肺炎(COVID-19)の感染拡大により、先行きが不透明な部分があるが、翌年度以降も継続して国際的な協力・発信の強化を強めていきたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
研究の実績概要に記した通り、研究はおおむね順調に進んでいるが、成果物の公表に至っていない。一方で、研究テーマについて申請段階より広範な対象・領域を包括した形で進めることができている。また初年度より、国際的な展望を構築することができたことも望外の成果といえる。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度に計画していた『アリス物語(不思議の国のアリス)』について、今年度の上半期でまとまった成果発表を行う予定である。成果発表を踏まえ、『アリス物語』でのテーマを発展させる一方で、方法論を継承しつつ、今年度の主たる『ピーターパン』についても研究を行う。また、申請書に記した最終年度での成果発表計画を実現させるべく、関係各処との交渉を行い、準備を進める。
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Causes of Carryover |
申請書を作成した段階では、海外で開催予定であった国際学会が国内で開催されたため、次年度への繰越金が生じた。翌年度での使用計画への変更だが、当該国際学会が次年度(2020年度)は海外開催予定(申請書段階では国内予定)に変更されたため、その出張費に充てる予定である。
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