2023 Fiscal Year Annual Research Report
明内府制通俗彩絵本から見る近世中国通俗文学と視覚文化の関係
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19K13089
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Research Institution | Kanagawa University |
Principal Investigator |
松浦 智子 神奈川大学, 外国語学部, 准教授 (40648408)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 明代内府 / 彩色絵図本 / 識字層 / 視覚文化 / 岳飛 / 楊家将 / 西遊記 / 列国志 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、①彩絵『出像楊文広征蛮伝』、②彩絵『大宋中興通俗演義』、③彩絵『全像金字西遊記』a本b本、④彩絵『春秋五覇七雄通俗列国志伝』という明内府制の彩絵小説群の制作・受容の諸相について、周辺の彩絵本・経典、絵図本等を用いて考察するものである。この研究は、本来2019年度~21年度までの三カ年で行われる予定であったが、19年度末より始まったコロナの影響で、20年度~22年度の間、調査遂行に制限がかかったため、その実施期間を23年度まで延長することとなった。合計五年間の成果は次の通りである。 まずコロナ前の19年度には、①②の「宋代もの」彩絵小説を検証し、①②が明内府で制作・受容された背景に、宋代尊重の政治気風や宦官勢力の自己宣伝が存在したことを明らかにした(論文「明代内府で受容された宋の武人の絵物語―とくに岳飛の物語から」)。 一方、コロナ期間の20~22年度には、電子・オンライン媒体や、利用可能な近郊の研究機関、図書館を活用し、②の関連文芸が異域で受容される際にも絵図が利用された事を指摘する論文「日本における岳飛“文芸”の展開」を執筆したり、③の制作・受容を検証した「明代内府繪圖本文化初探─以西遊記的彩色繪圖本爲中心」を台湾中興大の学会でオンライン発表する等した。 他方、コロナの影響による諸般の制限などから、本研究には未解明部分が残っており、調査の継続が必要となった。そこで上記の検証と共に後継の科研基盤C課題「明内府彩絵通俗文学と絵図本など視覚文化から見た新興「読者層」の諸相」を申請し採択もされた。本研究(若手研究)の最終年である23年度は、残りの資金を用いて天理大図書館や杏雨書屋所蔵の彩絵本や関連絵図本を複写しつつ、継続の基盤C課題を積極的に推進し、三つの国外学会と一つの国内学会で口頭発表をし、その他論文二本を執筆した。その成果の詳細については基盤Cの報告書に記す。
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Research Products
(5 results)