2021 Fiscal Year Annual Research Report
The Repertory of the King's Men and Relationships among Boy Actors
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19K13098
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
木村 明日香 中央大学, 文学部, 准教授 (70807130)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 初期近代英国演劇 / 少年俳優 / ジェンダー、セクシュアリティ |
Outline of Annual Research Achievements |
第59回シェイクスピア学会(於オンライン)の第二日目(10月10日)のセミナー「初期近代イングランドをクィアに読む・観る・考える」において発表を行った(題目「More Dissemblers Besides Womenにおけるクィアな欲望と再生産」)。申請者はトマス・ミドルトンのクィア研究で注目されている、新しい家族の想像/創造、トランスジェンダー、物質文化の三つのキーワードを軸に、少年俳優演じる異性装のヒロイン・小姓(Page)とラクタンシオ(Lactantio)の異性愛関係にはらむクィアな欲望に注目した。また小姓(Page)は初期近代演劇で唯一、妊娠・出産する小姓だが、これが近年増加しているトランス男性の妊娠・出産とも響き合い、「女性の」出産という言説に疑問を投げかけていることも指摘した。当時の舞台で陣痛や出産のシーンが描かれることは極めて稀だったが、本作と、本作直前に再演されたThe Duchess of Malfiでは女性の陣痛・出産が描かれている。Malfiで陣痛・出産の演技をした少年俳優Aは、同再演で共演した元少年俳優Bに陣痛・出産の演技を教わった可能性があり、Aは小姓(Page)を演じた少年俳優Cにこの演技を継承した可能性が高い。このように少年俳優たちが陣痛や出産をめぐる会話をしたことは、女性たちがゴシップ(gossip)としてこうした知識を共有したことと重なる。また‘A Paradox in Christopher Marlowe’s Dido, Queen of Carthage’(『紀要(言語・文学・文化)』128号、中央大学文学部、2021年3月、1-13頁)、‘Henry VIII, dir. by Kotaro Yoshida’(Shakespeare Studies, vol. 59, 2021, pp. 43-45)も刊行された。
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Research Products
(3 results)