2021 Fiscal Year Research-status Report
1880年代から1920年代の英国小説における「散漫な注意」の技法
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19K13099
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Research Institution | Tama Art University |
Principal Investigator |
中嶋 英樹 多摩美術大学, 美術学部, 講師 (70792422)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | モダニズム / 注意力 / 注意散漫 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度は当初の予定では、プロジェクト最終年度となる見込みだったが、感染症の関係から国外の施設を活用した資料調査が実施困難であったため、補助期間を延長することとした。 そのような資料面での制約はありつつも、(1)社会規範としての集中、規範を脅かす散漫な注意といった本研究の根幹をなす概念の歴史性に関する整理を進めると同時に、(2)上記の整理を反映した、個別作家研究(ヴァージニア・ウルフ、フォード・マドックス・フォードなど)、を進展させるという、二つの軸にしたがった研究を進めた。 (1)については、個別作家研究の論考を執筆するなかで必要となった、1900年前後の心理学を再整理するために必要となる資料の収集をあらためて行ったほか、注意力に関する言及のある研究書の収集も継続的に進めた。 (2)については、∨・ウルフに関する口頭発表を元とした論考は、英語校正を受ける直前の段階まで進めた。速やかに初稿を完成させ、校正のフィードバックを論文に反映させたい。また、F・M・フォードについては、関連文献の収集を始めており、海外での資料調査が可能になったさいの調査範囲のおおよその目安を立てている。最後に、当初の予定にはなかったが、ジェイムズ・ジョイスの論文集について書評を発表したが、ここ10年ほどの国内でのジョイス研究の再整備が進んでいる様について状況を整理し、本研究の観点がジョイス研究においてどの程度新規性のあるものか、判断する契機となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
感染症の影響で、国外施設(英国の大英図書館など)を利用しての資料収集が当初の予定よりも進んでいないため。
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Strategy for Future Research Activity |
海外の施設を活用した資料の収集については、国内外の状況を見極めつつも、可能なかたちで実施したい。それと並行して、新刊の書籍や電子ジャーナルで収集可能な資料で執筆が可能である概観論文の執筆を進めるほか、すでに収集済の資料で執筆可能な個別作家論の作業を進めていく。
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Causes of Carryover |
感染症の影響で2020年度、2021年度の国外渡航が不可能になったため、次年度使用額が生じた。 国内外の状況を見極めつつ、2022年度は夏季に海外の施設を利用した資料収集を進めたい。それと平行して、書籍の購入、電子ジャーナルの契約、英文校正など助成金を使用していく見込みである。
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Research Products
(1 results)