2022 Fiscal Year Research-status Report
中世後期イングランドにおける地方での聖人崇敬に関する写本研究
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19K13104
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
菅野 磨美 金沢大学, 外国語教育系, 助教 (20805329)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 聖フリデスウィデ / 聖エセルスリス / 聖ミルドレッド / マージェリー・ケンプ / 神秘主義作品 |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度前半は、オクスフォードのフリデスウィデ、イーリーのエセルスリス、ミンスター・イン・サネットのミルドレッドの3人の聖女の崇敬に焦点を当て、ラテン語・中英語による聖人伝と、典礼写本やその他の崇敬活動を示す図像資料を基に、それぞれの地方における聖人崇敬の様相について論考をまとめた。研究の成果は、フリデスウィデ伝については23年度の国内学会での報告が決まり、ミルドレッド伝の一部はオンライン版Palgrave Encyclopedia of Women's Writings in the Global Middle Agesにて刊行された。 2022年度後半は、エセルスリスの崇敬について調査をしている過程で、イーリーを中心とするイースト・アングリア地方における聖人崇敬が一般信徒にどのような影響を与えたのかについて、15世紀リンの女性マージェリー・ケンプに焦点を当てた論文をまとめ、海外で刊行される予定の論文集に投稿した。 2023年3月には、イギリス・オクスフォード大学のAnne Mouron博士とベルギー・Universite' Saint-Louis, BruxellesのMarleen Cre'博士を招聘し、慶應義塾大学で中世ヨーロッパにおける女性と書物に関する講演会、金沢大学(しいのき迎賓館)で13~15世紀ヨーロッパの神秘主義作品に関する講演会、また東京で対面・オンラインで、日本とヨーロッパ各地をつないだオンライン・セミナー、慶應義塾大学で若手研究者向けのセミナーを行った。二人の研究者とは、13~15世紀ヨーロッパにおける神秘主義作品に関する論文集の準備を行っており、海外の出版社より2~3年後の刊行を目指して、複数回の編集打ち合わせを行った。 2021年度に投稿した聖ウィニフレッドの移葬に関する論文が『旅するナラティヴ―西洋中世をめぐる移動の諸相』にて出版された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2022年度中に研究課題に関する論文やその他解説の出版があり、また来年度以降の刊行につながる論考をまとめたり、論文を投稿することが出来た。また、二人の研究者を日本に招聘したことで、今後の研究の成果を発表・刊行するための計画が大きく前進したため、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度にあたる来年度は、研究計画では、同様の関心を持つ研究者を招聘し、研究課題に関する国際シンポジウム/ワークショップを企画・実施する予定だったが、海外の研究者の招聘計画を3年次に前倒して実施したため、研究課題のまとめとして、引き続き国内での執筆を中心に研究を行う。ウィンチェスターの聖エドブルガ崇敬について調査をし、論考をまとめ、これまでに執筆・編集してきた他4人の聖女崇敬に関する論考と合わせて、初稿を出版社に提出することを目指したい。また、海外の研究者と共同で準備している論文集についても、編集作業を進め、2~3年以内の刊行を目指す予定である。
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Causes of Carryover |
国や大学が規定する出入国時の手続きやその他の事情から夏季の海外渡航を見送り、その代わり最終年度に予定していた海外の研究者の招聘を行ったが、初年度(2019年度)から、新型コロナウイルス感染症の影響や、産前産後休業取得の関係で海外への渡航を見送り続けているため、過去2年分の旅費として計上した額が余っていると考えられる。次年度以降も状況を見て海外に渡航できるか判断をするが、円安の影響で洋書が当初の想定よりも高額になっているため、残高を国内での論文執筆のための図書の購入にあてることも考えている。
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