2023 Fiscal Year Research-status Report
日英米女性達による芸術・情動を媒介とした外交:日露戦争から第二次世界大戦まで
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19K13106
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Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
雲島 知恵 奈良女子大学, STEAM・融合教育開発機構, 専任講師 (50737434)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | トランスナショナル・フェミニズム / 国際協調主義 / モダニズム / 戦間期 / 日本古典の英語翻訳 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、20世紀前半の、日英米の女性達による芸術・情動を媒介とした文化外交の歴史を追うものである。日英米友好関係及び環太平洋地域の平和のために活躍した女性作家、芸術家達のネットワークを描き出し、女性の政治参加・連帯の意義を考察することを目的とする。 研究5年目にあたる本年度は、更なる一次資料の収集を進めると共に、昨年度集めた一次資料の分析を進め、Tokyo Penwomen及び仏教を媒体とする文芸ネットワークについて研究発表を行った。前者については、戦間期に特に盛んになった女性達による国際協調主義を謳う運動の一環として位置付け、1920年代後半から1930年代前半に東京で女性文筆家達の国際的グループが設立し活動したことの意義及びその特徴について議論した。Tokyo Penwomenメンバーの国際協調主義的活動についても、インドの独立運動家Rash Behari Boseも参加したAnnie Shepley Omori主催のThe Philip Dodge International Study Club等を例に、取り上げた。また、メンバーによる文芸活動についても更に分析を進め、Omoriが土居光知との共訳で出版したDiaries of Court Ladies of Old Japanについては、特にAmy Lowellが寄せた序章に注目し、日本の古典の英語翻訳とモダニズム文学との繋がりを議論した。後者については、南山宗教文化研究所所蔵の静坐社資料を元に、L. Adams Beckと小林信子による『枕草子』の女性による初の英語訳の制作過程を描き出すと共に、その特徴をArthur Waleyによる同作品の英訳と比較しフェミニスト翻訳として分析した。 太平洋地域の文学作品を議論した学術書については、Springerと正式に契約を結び、手直しの上、最終稿を提出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度、海外の大学図書館、資料館等で一次資料の収集を行うことが出来たお陰で、ようやく研究成果が出始めている。公開講義、公開ワークショップ、国際学会での発表内容としてまとめることが出来たのは、興味深い一次資料を多数発見することが出来たことによる。
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Strategy for Future Research Activity |
研究最終年度は、口頭発表としてまとめた研究内容を研究論文として国際ジャーナルなどに投稿すると共に、まだ分析の終わっていない一次資料の分析を進め、更なる研究成果に繋げる。その際、デジタル・ヒューマニティーズの手法を取り入れることで、作業の効率化を図る。
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