2022 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19K13109
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Research Institution | Kobe City University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
衣川 将介 神戸市外国語大学, 外国語学部, 准教授 (10779424)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | Mark Twain / Detective / wordplay / pun / riddle / race / gender / fairplay |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は英米探偵小説における隠れた言葉遊びの役割を明らかにすることである。この役割の解明は、4名の作家(Agatha Christie、Charles Willeford、Mark Twain、Sara Paretsky)の作品を中心に、三つの視点からの分析を通して行われる。まず英米探偵小説に定番の趣向である「フェアプレイ」と呼ばれる技法における言葉遊びの使用法の把握。次に人種問題を描くツールとしての言葉遊びの役割の把握。そしてフェミニスト探偵小説における家父長制批判の手段としての言葉遊びの役割の把握である。隠れた言葉遊びが様々な英米探偵小説の中で重要な役割を担うことを示すことで、英米探偵小説の新たな形式面での特徴を提示することを目指している。 2022年度は英米における人種問題に関する研究資料の収集に注力した。特に19世紀米国における「人種の科学」に関する資料の収集に力を入れた。さらにTwain研究の専門誌にTwainの探偵小説と言葉遊びに関する論文を出版した。また研究をまとめる準備として、集中的に分析を行う作品群を暫定的に選定した(対象作品の多くが長編であるため選別は完了しておらず、作品数は増える予定)。 2019年から2022年に渡り、毎年1名の作家の作品と関連資料を集中的に収集・分析する形で研究を進めてきた。コロナ禍により研究の進捗はやや遅れているものの、資料収集はほぼ完了し、研究の軸となる作品の特定も目途が立っている。また、論文出版という形で研究成果も実を結び始めている。 今後は対象作品における言葉遊びの役割の分析をさらに進めていく形でそれぞれの作家に関する作家論を完成させる予定である。最終的には英米の探偵小説(ないし犯罪文学)全体における言葉遊びの役割に関する概説も作成する予定である。研究成果を論文や英文単著として出版するという当初の目標に変更はない。
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