2020 Fiscal Year Research-status Report
ジャズと文学:日米文学研究とインプロヴィゼーション・スタディーズの視点から
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19K13115
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
佐久間 由梨 (辻由梨) 早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 教授 (90712646)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ジャズ / インプロヴィゼーション / 即興 / Black Lives Matter / カマシ・ワシントン / アルバート・アイラー / ハーレム・ルネサンス |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度は、ジャズと即興をめぐる研究の成果を、論考、研究発表、大学生向けの教科書において発表することができた。より具体的には、2010年代以降のジャズをブラック・ライヴス・マターとの関連において論じる論考が2本(「ミレニアル世代のジャズ:カマシ・ワシントンをジャズ史とBlack Lives Matterに位置付けるとき 」『立教アメリカン・スタディーズ』 42号および「ブラック・ライヴズ・マター時代のジャズ:クリスチャン・スコット・アトゥンデ・アジュアとテリ・リン・キャリントンの即興実践」『現代思想 10月臨時増刊号 Black Lives Matter』)、公民権運動期のジャズをめぐる論考が1本(「現代から再検証するアルバート・アイラーの政治性と宗教性:ブラック・ライヴズ・マター期のジャズの先駆者として」『AA 五十年後のアルバート・アイラー』)、大学生向けの教科書2冊の項目執筆(『深まりゆくアメリカ文学――源流と展開 』と『よくわかるアメリカ文化史』)である。加えて、専修大学人文科学研究所定例研究会にて、「BLM (Black Lives Matter)運動とジャズ」という研究発表を行った。2021年度に出版予定の書籍(『ハーレム・ルネサンス』)には、1920年代のジャズをめぐる論考が出版される予定である。 2020年度は、コロナウイルスのため、海外の学会発表に出席することができなかったが、論文執筆をその分進めることができた。加えて、米国でのブラック・ライヴス・マター運動の高まりのなか、同運動と関連する近年のジャズへの関心が高まったこともあり、学術誌だけではなく『現代思想』という商業学術誌においても発表の機会をいただくことができ、研究を進める上での大きな励みとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナウイルスのため、当初予定していた海外の学会への参加が全くできない状態になってしまった。しかし、その分、本研究の鍵となる2010年代以降のジャズの研究を進め、論文として発表することができたことは大きな成果である。また、1920年代および1960年代のジャズという、本研究において重要な時期についても、それぞれ論文として発表することができた。1960年代のジャズの研究については、この先も進める必要があるが、現段階においては、おおむね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度も、コロナウイルスのため、海外出張が難しい状態が続くことが予想される。そのため、海外出張費として計上していた費用を、書籍の出版助成費用として利用することを計画している。したがって、研究期間が終了する2022年度末までに、研究成果を書籍として出版するべく、現在、原稿の執筆を進めるとともに、早急に出版社との打ち合わせも進める予定である。 コロナウイルスのため、当初よりも早い段階で書籍出版を計画することになったが、出版という目標に向けて、各章をできる限り仕上げていきたい。
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Causes of Carryover |
コロナウイルスのため海外での学会出張を行うことができなかった。そのため、海外出張費として計上した予算を使用することができなかった。次年度使用額は、2021年度の助成金と合わせ、研究成果を書籍として出版するための費用として使用する予定である。
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Research Products
(6 results)