2021 Fiscal Year Research-status Report
ジャズと文学:日米文学研究とインプロヴィゼーション・スタディーズの視点から
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19K13115
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
佐久間 由梨 (辻由梨) 早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 教授 (90712646)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ハーレム・ルネサンス / ジャズ / デューク・エリントン / フレッチャー・ヘンダーソン / アメリカ文学 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度は、1910年代から20年代までのジャズをめぐるアメリカ文学作品および、同時代のジャズをめぐる認識についての調査を進めた。1920年代はアメリカにおける黒人初の芸術文化運動であるハーレム・ルネサンスの時代であり、ジャズが、アフリカ系アメリカ人だけではなく白人にも人気となったジャズ・エイジの時代でもあった。
このような時代を背景とし、多くのアフリカ系アメリカ人の作家がジャズをめぐる作品を生みだしている。本年度は、ジャズを描いたアフリカ系アメリカ人作家の中から、特にラングストン・ヒューズとゾラ・ニール・ハーストンの作品を読みすすめた。さらに同時代に人気となったデューク・エリントンやフレッチャー・ヘンダーソンなどのミュージシャンをめぐる伝記的かつ歴史的資料の調査も進めた。
研究の成果は、『ハーレム・ルネサンス ――〈ニュー・ニグロ〉の文化社会批評』(明石書店、2021年)に掲載された論考「ミドルブラウ・エンターテイメント・ジャズの発展――フレッチャー・ヘンダーソンとデューク・エリントンの1920年代」として発表した。加えて、これまでの研究の一部を早稲田大学エクステンションセンターの公開講座「ジャズとアメリカ文学」として一般に発表する機会をいただいた。この講座では、1920年代から60年代までのジャズをめぐる文学作品について、時代背景や社会的状況との関連において紹介した。これまで大学の授業や学術論文以外で本研究の成果を発表する機会がなかったため、研究内容をどのように大学外の聴衆に伝えることができるのかについて深く考えることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ禍において、海外の学会に参加し学会発表をすることが難しい状況が続き、研究発表をすることができなかった。さらに、コロナ禍における授業のオンライン化の準備に予想以上に時間がかかり、研究の時間を十分に確保することも困難だった。これらの理由により、研究調査および研究発表の両面において、進捗状況は遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も海外の学会への参加が難しい状況が予想されるため、国内で参考文献の精査および論文執筆を継続する予定である。とくに、1940年代から60年代という第二次世界大戦や公民権運動の時代におけるジャズ文学およびジャズの持つ社会的意義についての調査を進める予定である。大学での教育活動と研究の両立が時間的に難しい状況が続くことが予想されるが、できる限り研究・執筆のための時間を確保するように努力する。
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Causes of Carryover |
コロナ禍により海外出張ができなかったこと、オンライン授業の準備により研究の時間が十分に確保できなかったことにより、次年度使用額が生じた。出張をすることができないため、その分の予算を単著の出版費用として使用することを予定している。
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Research Products
(6 results)