2020 Fiscal Year Research-status Report
Eliza Meteyard, the Nineteenth Century British Woman Journalist and Early Investigative Writer
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19K13116
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
閑田 朋子 日本大学, 文理学部, 教授 (40328654)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 19世紀英文学 / イライザ・ミーティヤード / ジャーナリズム / 女性ジャーナリスト / 美術工芸品 / 社会問題小説 / アンティーク |
Outline of Annual Research Achievements |
英国19世紀中ごろに活躍した初期取材・調査型女性ジャーナリスト、イライザ・ミーティヤードについての研究を進めるに当たり、本年度は1850年代から60年代にかけての彼女の著作活動を追った。ミーティヤードは、1840年代に様々な社会問題について急進的な記事を書いていたが、50年代初頭までに主な寄稿先の大衆向上雑誌が次々に廃刊になると、生活の糧を得る目的で婦人ファション雑誌に軽い読み物を寄稿せざるを得なくなった。しかし1860年代に『オッド・フェロウズ・マガジン』の常連寄稿者になり生活が安定すると、彼女は、今なお陶器で有名なウエッジウッド社の創始者の伝記『ジョサイア・ウエッジウッドの人生』(2 vols, 1865-66)を執筆し、その出版により一躍時の人となり美術史にその名を残した。 本書は、陶器製造の審美的・技術的側面ばかりでなく、ウエッジウッド社の労使関係にまで踏み込んだ著作である。1840年代の社会派の作家として活動した経験と、50年代に婦人ファッション雑誌に寄稿した経験が、従来からの古美術品や生活工芸品への興味と相俟って、本書に結実したと言える。40年代には急進的にすぎたミーティヤードであったが、不遇の50年代を経て、読者に分かりやすく、かつ反感を抱かせることなく社会問題を扱う記事を書く術を身に付け、古美術や生活工芸品の専門家として活路を見出し、ウエッジウッドの伝記作家として名を成す様子は、19世紀英国のジャーナリズムや女性ジャーナリストのあり方を知る上でも、また現代社会におけるジャーナリズムにおける読者と作者の関係を考える上でも有益であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
新型コロナウィルスが蔓延し、資料集めのために渡英することが不可能になった。そのため全体として過去に入手した資料に頼らざるを得ない面が大きい。しかしながら、オンライン上で、イライザ・ミーティヤードに関する記事や書評をできるだけ集めたり、イギリスのディーラーを通してミーティヤードに関する手稿を入手したりして、研究を進めている。なかでもミーティヤードの寄稿記事が新たにいくつか見つかったことや、アメリカにおけるミーティヤード評が明らかになった点は、有益であった。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウィルス流行の影響のため、1850年代・60年代におけるミーティヤードのジャーナリストとしての執筆活動について研究は、すでに入手した資料をもとにした不十分な研究にならざるを得なかった。そのため令和3年度は、ミーティヤードの50年代・60年代の執筆活動にさらなる光を当てると同時に、今まで研究において手薄になっていた、彼女の児童文学作家としての側面に光を当てたい。
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Causes of Carryover |
資料を集めるために渡英する予定だったが、新型コロナウィルス蔓延のため、それが不可能になり、当該年度分の助成金すべてを使用することが出来なかった。次年度に渡英が可能になった暁には、今までの分の予定を含めて出張期間を延長し、大英図書館やケンブリッジ大学やレスター大学図書館等を訪問して、必要な資料を集めたい。なお、依然として海外出張が難しい場合には、すでに集めた手稿を資料として紹介したり、ミーティヤードの著作をより詳しく分析したり、ミーティヤードと同時代の作家を比較したりするなど、研究方針をある程度、調整して研究を進める予定である。
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Research Products
(1 results)