2021 Fiscal Year Research-status Report
Eliza Meteyard, the Nineteenth Century British Woman Journalist and Early Investigative Writer
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19K13116
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
閑田 朋子 日本大学, 文理学部, 教授 (40328654)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 19世紀英文学 / イライザ・ミーティヤード / ジャーナリズム / 女性ジャーナリスト / 美術工芸品 / 伝記 / 社会問題小説 / 産業革命 |
Outline of Annual Research Achievements |
ジョサイア・ウエッジウッド(1730-95)が生きた時代は、英国で産業革命が進行中の時代であった。そのため、いまだ産業革命以前の価値観を持つ同世代の著作家には、ジョサイアのような工場制機械工業の実業家の人生を記録する意味が十分に意識されていなかった。結果として、ジョサイア及びその工場に関する資料は四散することになった。女性の家庭外の活動が制限されていた時代であっただけに、女性ジャーナリスト、ミーティヤードのウエッジウッドの伝記作成は難航したであろうことが、推測される。 しかしながらミーティヤードは、出身地の人脈に加え、ホイッティントン・クラブや雑誌寄稿を通して培った人脈を利用して、資料を集めている。とくに幸運であったのは、リバプールのジョセフ・メイヤー(1803-86)との知己であった。ウエッジウッドの陶器に魅せられた彼は、自らウエッジウッドの伝記を書くつもりで、様々な関連資料を集めていたが、著作時間をとることができなかった。そこでメイヤーは、ミーティヤードに資料を貸し出し、伝記の作成を託している。またミーティヤードが、ウエッジウッドの孫にあたるチャールズ・ダーウィンと、同郷であったことも幸運であった。彼女はダーウィンから、ウエッジウッドの書簡を借りている。 ウエッジウッドの伝記作成のための、このようなミーティヤードの資料入手方法を辿る研究は、女性の図書館利用さえも制限されていた時代において、人的ネットワークが、政治や社会、産業に関心を持つ女性ジャーナリストにとって、いかに重要であったかを示す事例研究として、有益であった。また、現代のジャーナリズムを考える上でも、情報の真偽を精査する上で、何が情報源として残すべき資料であり、著作対象とするに足るテーマであるのか、社会常識がイデオロギーとして規定し得ることが明確にされた点で、本研究は有益であると言える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
昨年度に引き続き、新型コロナウィルス蔓延のため、資料収集を目的とした渡英ができずにいる。ミーティヤードは、現在に至るまでほとんど知名度のないジャーナリストであるため、二次資料のみで十分な研究をすることは不可能であり、結果として過去に入手した一次資料に頼らざるを得ない面が大きい。しかしながら、近年はオンライン上に多くの一次資料が載せられているため、それを最大限に利用して、研究を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
コロナウィルス蔓延の影響で、一次資料を集めるために渡英することが出来ず、ミーティヤードの執筆活動に関する研究は、いまだ調査が不十分な状態である。令和4年度は、渡英して資料を集めることによってその不足部分を補い、彼女の1850年から没年に至るまでの著作活動(とくに社会・政治関連の執筆活動と伝記作家としての側面)に、さらなる光を当てたい。
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Causes of Carryover |
資料を集め、関連研究者と情報交換し、口頭発表を行うために渡英する予定だったが、新型コロナウィルスのため、海外出張がかなわず、当該年度分の助成金すべてを使用することができなかった。次年度には、コロナウィルスの状況を見ながらではあるが、これまでの分の予定も含めて出張期間を延長し、大英図書館やケンブリッジ大学図書館などを訪問して、必要な資料を集め、不明箇所を確認していきたい。
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Research Products
(1 results)