2021 Fiscal Year Research-status Report
第二次世界大戦期アメリカ文学批評の創出と美感的言説の変容
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19K13122
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Research Institution | Chukyo University |
Principal Investigator |
千葉 洋平 中京大学, 国際学部, 講師 (30802821)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 文学批評 / 人文学 / aesthetic / 信仰 / 新批評 / 教授法 |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度は引き続きこれまでのアーカイブ調査で得られた資料を精査し、そこで得られた内容を2つの学会で発表できた。その中でもKenneth BurkeとI.A. RichardsがGeneral Education (一般教養)をめぐって冷戦期に理想的な教育カリキュラムを模索していたことは、アメリカ合衆国だけでなく戦後一般教養教育を輸入した日本の高等教育についても示唆に富むものであった。これらは彼らの文学理論がどのように教育という実践に応用され、それによる成功と失敗をより明確に知ることにつながる。 昨年度開催を見送られた学会を含め学会発表を通し、新しい人脈をつくるとともに、研究について多くの助言を得ることができた。コロナ禍によって研究の射程に制限はついたものの、入手できる資料を元に理論から実践へと移る2人の功績についてある程度の枠組みができたはずである。特にシカゴ大学における教育システムは、ハーバード大学とともに人文学系の骨格を形成しているものであり、教育以外にそれらの大学の学者が大戦後期に社会の広範囲において影響力を及ぼしたことを念頭に置くならば、アメリカ合衆国だけでなく日本の人文学や文学教育を見直す手がかりを示すだろう。 以上の点から第二次世界大戦からその後にかけて「美学aesthetic」がどのように改変され、新しい言説を生み出したのか、また文学だけでなく戦後に流行する建築やそれ以外の文化的産物の受容の変化について考察を広げることができると確信している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1. 国内外学会での発表をすることができた。 2. 手に入る資料をある程度まとめることができ、次のステップにつながる土台ができた。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度までに大幅な研究計画の変更を余儀なくされたため、以下の通り研究を進めていく。また実質的な教育プログラムの体系化は資料不足により昨年度達成することができなかった。 そのため以下の3点を目標とする。 1. 春季までにアーカイブ調査を行う。(主にコロンビア大学、プリンストン大学、ロックフェラー財団) 2. Burke と Richardsの思想を教育法に活すプログラムを作成する。 3. 活字媒体として調査で得たことを発表する。
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Causes of Carryover |
コロナ禍により海外への渡航が困難であったため、渡航費代にあてる金額が残っている。研究をすすめるために次年度に利用することが望ましい。
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Research Products
(3 results)