2023 Fiscal Year Annual Research Report
J. R. R. トールキンの中世英語英文学研究と「ファンタジー」創作を巡って
Project/Area Number |
19K13124
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
岡本 広毅 立命館大学, 文学部, 准教授 (10778913)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | J.R.R. トールキン / 中世英語英文学 / アーサー王物語 / 中世主義 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度の前半は、まずファンタジーの文学的ルーツをたどるためロマンス・ジャンルについて理解を深めた。その際にダラム大学のニール・カートリッジ教授に助言を仰ぎ、特に18世紀以降のバラッドやロマンスの発掘、ゴシック文学との関係性、そして20世紀のトールキンのファンタジー作品へと至る経路などに関する歴史的見識が深められた。また、トールキン研究に関してはリーズ大学のアラリック・ホール准教授に専門的な指導・助言を仰ぐこともできた。ブラザートン図書館に所蔵されているスペシャルコレクション(Tolkien & Gordon Collection)も調査し、リーズ大学の英文科に継承されるトールキン研究の一端を見てとった。 英国ブラッドフォード大学で開催されたジョン・ガース氏をはじめとする講演会は、トールキンの創作へのインスピレーションを多角的にみる機会となった。また、トールキン協会主催の研究発表会やリーズ大学で開催された国際中世学会に参加し、中世英語英文学やトールキン研究の最新の知見に触れることができた。オックスフォード大学のボドリアンライブラリーではトールキンの遺稿を調査し、『ガウェイン卿と緑の騎士』とファンタジー創作に関する新たな研究の可能性が広まった。なお、『ユリイカ:詩と批評』に寄稿した翻訳「リーズ大学のJ.R.R. トールキン(アラリック・ホール/岡本広毅訳)」や論考 「英雄精神と〈騎士道〉ートールキンのべオルフトノスとガウェイン」はこれらの研究の成果の一部をまとめたものである。 後半は西オーストラリア大学のアンドリュー・リンチ教授に助言を仰ぎ、アーサー王物語の受容史や日本の西洋中世主義について研究を進めた。中世・ルネサンス研究会では“Medievalism and Arthurian Legend in Japan”と題した発表を行った。
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