2021 Fiscal Year Research-status Report
カリフォルニア文学の場所表象における作家・土地・観光産業の関係性
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19K13129
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Research Institution | Matsuyama University |
Principal Investigator |
菅井 大地 松山大学, 経済学部, 准教授 (20825666)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 環境批評 / カリフォルニア文学 / 場所表象 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度は、カリフォルニア文学と場所表象に関連するものとして、1篇の論文、2件の国内学会シンポジウムにおける研究発表を行った。また、本研究と密接に関連する批評理論である環境批評(エコクリティシズム)に関する国内学会ワークショップが1件、ならびに環境人文学分野の国際学会パネルにおいて1件の研究発表を行った。 論文"The Capitalist Scheme Subverting the Hope for Solidarity in Of Mice and Men"においては、ジョン・スタインベックの『はつかねずみと人間』を扱い、そこに隠された所有という資本主義的欲望を明らかにした。弱者による連帯を前景化して資本主義的価値観から逃れようとする労働者も、実際には所有欲に基づいて行動しており、資本主義構造から逃れ得ないことを検証した。 発表の1件目「民主主義的個人の位相」においては、ヘンリー・ミラーの作品にみられる民主主義的理想像と場所表象の関連性を検討した。2件目「The Octopusにおける超自然的Force」においては、フランク・ノリスの自然主義小説と近年の人新世に関する議論との相関を指摘した。 ワークショップでは、海洋を巡る環境思想を扱う研究書Wild Blue Mediaの解説を加えた。 また、国際学会においては、日米の若手研究者(計6名)からなるパネルに参加し、「空気の共有」を鍵語として分野横断的な議論を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初より予定していた論文が発行されたことに加え、コロナ禍で延期されていた2件の学会発表が実施できたことが大きな要因である。未だ現地での資料収集は叶わないが、国内において可能な限りの資料収集を行い、観光産業に関する理論的背景の整理もおおむね順調に進展した。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度の学会発表での原稿を基に論文を執筆し投稿する予定である。また、引き続き理論的背景について整理し、最終年度はその成果も踏まえたうえでの論文を執筆したい。可能であれば延期となっている海外調査にも着手できればと考えている。
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Causes of Carryover |
コロナ禍により海外での資料収集や学会出張などを取りやめたため、予定していた旅費を消化しなかった。代わりに国内で収集可能な資料収集費用に充てたものの、一部は余剰となった。この余剰分については、翌年度の資料収集旅費の一部に充てる予定である。
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