2022 Fiscal Year Annual Research Report
カリフォルニア文学の場所表象における作家・土地・観光産業の関係性
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19K13129
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Research Institution | Aichi Gakuin University |
Principal Investigator |
菅井 大地 愛知学院大学, 教養部, 講師 (20825666)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | カリフォルニア文学 / 環境批評 |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度は、カリフォルニア文学および環境批評に関連する発表として、1件の国内シンポジウム発表、1件の国際シンポジウム発表、1本の論文執筆を行った。 論文「山火事とともに生きる―ビッグ・サー文学における逗留の感覚」は辻和彦・浜本隆三編著『非日常のアメリカ文学―ポスト・コロナの地平を探る』(明石書店)に寄稿した。ビッグ・サーを代表する詩人であるロビンソン・ジェファーズの長編詩における山火事表象を中心に分析し、場所と人間との関係性について、「逗留の感覚」という鍵語を提示して考察を行った。 国内シンポジウムでの発表は、リチャード・ブローティガンの作品を「ダメ男」を鍵語として読み直す試みであり、カリフォルニア都市環境における「男性性」と「ケア」の観点から考察を加えた。 国際シンポジウムでは、カリフォルニア都市環境を主題とした作品(リチャード・ブローティガンの小説とハリエット・マレンの詩集)の比較分析を行い、都市環境、人間、自然の関係性の文学表象における変遷について議論した。1960年代のロマン主義的自然観に基づく都市と自然の関係性が、現代においては多元的な視座を提示するに至ることを指摘した。 なお研究期間全体としては、口頭発表が8件、雑誌論文が4編、共著への分担執筆論文が1編という内訳であった。いずれもカリフォルニア文学に分類される作品・作家を扱い、多角的な視点から場所と人間の関係性を探る試みを行っている。
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