2020 Fiscal Year Research-status Report
20世紀前半のイタリア芸術文化におけるアメリカへの眼差し
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19K13132
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Research Institution | Tokyo University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
小久保 真理江 東京外国語大学, 世界言語社会教育センター, 講師 (00815277)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | イタリア / アメリカ / 文化 / 文学 / 20世紀 |
Outline of Annual Research Achievements |
20世紀前半のイタリアにおけるアメリカやアメリカ人に関する言説・表象について、入手済みの先行研究を再読し、研究の傾向や特徴を見直した。また、このテーマや関連テーマについて新たな先行研究を入手し、近年の研究の動向や知見を把握することにも努めた。さらに、イタリアの作家によるアメリカ滞在記、アメリカに言及している評論や文学作品を読み、先行研究で十分に論じられていない側面を探した。 先行研究はアメリカについての言説・表象のみに焦点を当てているものが多く、他の国や地域に関する言説・表象と比較しているものは少ないことが確認できた。今年度はこの点に注目し、アフリカ大陸の国々に対する同時代のイタリア人のまなざしに関する調査・分析を行い、アメリカ合衆国に対するまなざしと比較した。20世紀前半は、イタリアにおいてアメリカ合衆国への関心が高まった時代であるとともに、植民地政策や戦争を背景にアフリカ諸国への関心が高まった時代でもある。アフリカ大陸の国々に対する当時のイタリア人のまなざしは、アメリカ合衆国に対するまなざしと対照的な面もあるが、「新天地」のイメージなどの類似性も挙げられる。ウェスタン映画や冒険小説などのアメリカ文化作品のイタリアにおける人気と普及は、アフリカの植民地へのイタリア人のまなざしとも関連性を持つと言える。また、イタリアにおけるアフリカ系アメリカ人に関する言説・表象にも、アフリカの植民地へのまなざしとの関連性や類似性が見出せる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
COVID-19の影響でイタリアやアメリカに渡航することができなかった。また、さまざまな業務で予想以上に多忙となり、当初の計画通りには研究が進まなかった。限られた時間のなかで、日本からでも入手可能な文献を取り寄せ、研究を進めた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、アメリカに関する言説や表象の含まれる評論・文学作品・映画作品の入手と分析をさらに進め、口頭発表や論文・書籍の形でその成果を発信することを目指す。個々の時期や作家・作品について多くの先行研究が存在するため、それらの先行研究をしっかりと踏まえた上で、新しい独自性ある分析・考察を行うことが重要な課題である。
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Causes of Carryover |
COVID-19のため海外渡航ができず、次年度使用額が生じた。次年度にはこの金額を書籍購入あるいは旅費に充てる予定である。
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Research Products
(1 results)