2019 Fiscal Year Research-status Report
A Study of Modern Japanese Poetry and Japanese Translation of Western Poetry in the Taisho and the Early Showa Period
Project/Area Number |
19K13148
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Research Institution | Yamanashi Prefectural University |
Principal Investigator |
大村 梓 山梨県立大学, 国際政策学部, 准教授 (50639177)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 堀口大學 / 翻訳詩 / 創作短歌 / 創作詩 / フランス近代詩 / 文芸雑誌 |
Outline of Annual Research Achievements |
堀口大學の創作短歌と創作詩について十代から第二次世界大戦前までをリスト化し、詩の題材と用いる語句の変化についてまとめた。同時に堀口の翻訳詩と翻訳文の特徴の変化について年代ごと、頻繁に寄稿していた雑誌ごとに整理を行った。その結果、堀口の創作短歌・創作詩と翻訳詩の間には語句と題材の両面について相似している箇所が見られた。この点に関して研究成果としてまとめ、現在書籍として出版を目指している。堀口が用いた仏語原文資料や、彼がフランス近代詩・フランス近代文学の理解のために参考にしたと推測される当時のフランスの文芸評論の調査のために、東京・恵比寿にあるMaison franco-japonaise(日仏会館図書館)とフランス・パリにあるBibliotheque nationale de France(フランス国立図書館)にて資料調査、収集を行った。その結果、堀口のフランス近代詩・フランス近代文学の受容がかなりの程度でLa Nouvelle Revue Francaise(『新フランス評論』)の論評から影響を受けていることがわかった。これについては2019年10月に新潟大学で開催された日本近代文学会秋季大会にて発表を行った。また2019年9月にはフランス・ストラスブール大学にて、GEO研究会(Groupe d'Etudes Orientale、東洋学研究グループ)のセミナーで堀口とフランス近代詩の翻訳について研究発表を行った。現地の日本文学研究者との議論の中で、戦後フランスにおけるフランス近代詩の受容と戦後日本におけるフランス近代詩の受容の差には用いられる語句の難解さが大きな影響を与えていることが分かった。この点に関して今後さらに調査を進めたい。現在はドイツで行われる詩の翻訳に関する研究会議に発表を申請中であり、また堀口と戦前の文芸雑誌の関係性について英語で論文を執筆中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた図書館での資料調査・収集、及び資料の整理はおおむね順調に行うことができた。そしてそれに加えてストラスブール大学のGEO研究会(東洋学研究グループ)に参加する機会を得たことにより、日仏のフランス近代詩受容の差異について現地の研究者たちとより深く議論することができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度はドイツで行われる詩の研究学会に申請中であることから、そちらで研究発表を行いたいと考えている。引き続きMaison franco-japonaiseとBibliotheque nationale de Franceにて、特に堀口が目を通したと考えられる戦前のフランス文芸誌におけるフランス近代詩・フランス近代文学の評論の調査を行いたいと考える。得られた成果は英語と日本語の研究論文として発表する予定である。
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Causes of Carryover |
購入予定であった図書の在庫がない等、一部資料の入手に時間がかかったことが要因となっている。今年度は、必要資料の中でも入手が可能であるものから先に購入を進める予定である。
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