2020 Fiscal Year Research-status Report
A Study of Modern Japanese Poetry and Japanese Translation of Western Poetry in the Taisho and the Early Showa Period
Project/Area Number |
19K13148
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Research Institution | Yamanashi Prefectural University |
Principal Investigator |
大村 梓 山梨県立大学, 国際政策学部, 准教授 (50639177)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 堀口大學 / 翻訳詩 / 短歌 / 日本近代詩 / フランス近代詩 / モダニズム文学 |
Outline of Annual Research Achievements |
新型コロナウィルスを巡る状況の中で、フランスでの現地調査や国外での研究学会への参加が著しく制限された(学会、シンポジウムが中止または実施内容の変更があり参加ができなくなった)。そのため国内での資料収集、研究活動を積極的に行うようにつとめた。国立国会図書館にて資料調査を行い、恩師永井荷風と堀口大學の関係について、永井が寄せた堀口の著作への序文と永井が編集に携わった『三田文学』での活動を中心に分析を行なった。永井の序文では堀口の異国体験が触れられ、『三田文学』の「消息欄」には堀口の異国での動向が頻繁に伝えられるなど、堀口の異国滞在の語りが訳文テクストを受容する上での必須の要因として読者に繰り返し提示されていたことがわかった。そして永井編訳『珊瑚集』と堀口編訳『月下の一群』の原詩の選択と語彙・テーマに焦点を当てて比較検証を行なった。上田敏編訳『海潮音』と堀口編訳『月下の一群』の比較ほどの差は見られないものの、堀口の異国体験を念頭に『月下の一群』を読み解くと現地の芸術家(ローランサン等)との実際の交流が思い浮かび、当時の読者たちは憧れを抱いたと考えられる。また堀口が好んで用いた言葉として「わななく」を取り上げ、創作詩と訳詩の関連性から堀口の文体の傾向を明らかにした。これらにより、日本近代詩の文体の形成に影響を与えた翻訳詩集のあり方とは別に、翻訳される言語の文学潮流、翻訳者、及び翻訳者をめぐる周辺が強く影響を与えていることがわかった。現在は論文集に投稿するための英語論文を執筆中である。またフランスやオーストラリアの研究者たちと連絡を取り合い研究ネットワークの構築に励んでいる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウィルスを巡る状況の中で、フランスでの現地調査や国外での研究学会への参加が著しく制限され(学会、シンポジウムが中止または実施内容の変更が有り参加ができなくなった)、また国内での資料調査や研究発表の機会も制限されたため。
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Strategy for Future Research Activity |
状況が許せばフランスで現地調査を行いたい。また現地の研究グループへの参加やシンポジウム等での研究発表を通して、さらなる研究ネットワークの構築を行いたいと考える。論文集に投稿するために英語での論文を執筆中である。また日本語での著作の出版を目指し、積極的な成果の発表につとめたい。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルスを巡る社会状況のために、フランスでの現地調査が行えなかったため。今年度は状況を見ながら、資料の購入などを先に進める予定である。
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