• Search Research Projects
  • Search Researchers
  • How to Use
  1. Back to project page

2019 Fiscal Year Research-status Report

Philological Research about the doctrine of Medieval Waldenses : Analysis and Translation of their Manuscripts

Research Project

Project/Area Number 19K13152
Research InstitutionRitsumeikan University

Principal Investigator

有田 豊  立命館大学, 政策科学部, 准教授 (30771943)

Project Period (FY) 2019-04-01 – 2023-03-31
Keywordsヴァルド派 / キリスト教 / 教理書 / 中世写本 / ロマンス語文献学
Outline of Annual Research Achievements

2019年度の研究計画としては、①中世ヴァルド派が記した8本の詩編の解読と分析、②先行研究を通じて明らかにされている中世ヴァルド派思想の俯瞰、左記の2つを進めていくことを目標としていた。
①の実績としては、詩編の1つである『崇高なる読誦』La Nobla Leyczon の分析内容と全訳をまとめ、学内紀要を通じて公開した。当該詩編は、2018年度の時点から少しずつ解読を進めてきたものであるが、今年度その分析と翻訳を無事に形にすることができた。中世ヴァルド派詩編の日本語翻訳としては、これが本邦初のものとなる。中世末期にヴァルド派が作成した各種文書は、カトリック教会側から「異端」とされた彼ら自身の教理や精神世界を知ることができる貴重な史料ながら、中世の言語(特に、古オック語)で書かれているため、多くの場合、概要レベルでしかその内容を伺い知ることはできない。したがって、こうした史料の全訳を世に出すことは、教会史研究や聖書研究の分野において、非常に貴重な貢献となりうる。また、訳文のみならず、ヴァルド派における聖書の解釈や、カトリック教会との思想の違いなどに関する分析も付しているため、読者の理解の助けとなるに違いない。
②の実績としては、世界でヴァルド派研究が最も進んでいる国・イタリアへ資料蒐集に赴き、現地のヴァルド派文化センター Centro Culturale Valdese の協力の元、各種関連資料を揃えるに至った。現在、その内容を分析・整理している段階であるが、まだ成果として公開できる状態には至っていないため、次年度も鋭意分析を続けていく予定である。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

現在までの進捗状況として、2019年度の研究計画に含まれている2点――①中世ヴァルド派が記した8本の詩編の解読と分析、②先行研究を通じて明らかにされている中世ヴァルド派思想の俯瞰――のうち、①は順調に進んでいるが、②に若干の遅れがみられる。
遅れている理由としては、年度後半に自身の研究時間があまり取れなくなったことが挙げられる。2019年度は、年度の途中で所属と職階が変わり、職務内容も大きく変化した。新たな環境への順応に多くの時間を要したため、相対的に研究に充当できる時間が例年よりも少なくなり、研究の進捗が遅れる結果となった。

Strategy for Future Research Activity

今後の研究の推進方策としては、①残る7本の詩編の解読と分析、②中世ヴァルド派思想の俯瞰を、引き続き進めていく。
①詩編の解読には、作成されたと思しき時代から下る形で、『舟』La Barca、『4つの種の福音』L'Avangeli de li quatre semencz、『祈祷』Oraczon、『嘆願』Lo Despreczi del Mont、『永遠なる父』Lo Peyre Eternel、『新たなる救慰』Lo Novel Confort、『新たなる説教』Lo Novel Sermon という順番を検討している(ただ、状況によっては順番が変動する可能性もある)。なお、7本の詩編の文字起こしは全て終えてある。
②中世ヴァルド派思想に関しては、現在分析を進めている先行研究の俯瞰を行ったのち、解読した写本の内容も踏まえて、教理面の体系化を目指していく。
本来であれば、年1回はヨーロッパ現地に写本の調査に行く予定であったが、2020年度は渡航を自粛し、日本国内で実施可能な解読作業に尽力していきたい。方針としては、2020年度中に詩編の解読を全て終えてしまい、2021年度以降の研究期間中に集中して現地調査を実施したいと考えている。

Causes of Carryover

次年度使用額が発生した理由としては、写本の画像データの購入資金が未だ使用できていないことによる。
写本は全部で3種類あり(Cambridge写本、Dublin写本、Geneve写本)現状では、前者2つの画像データが手元にある。Cambridge写本は、マイクロフィルムから複製したモノクロ版なのでカラー版を改めて購入する必要があるのだが、現地で原物を確認してからの購入を検討している。また、Genève写本は所蔵図書館における複製許可が出るのに時間がかかっており、まだ購入時期の見通しが立っていないが、引き続き図書館と連絡を取りながら画像データを採取できるよう動いていきたい。
よって、次年度使用額として算出されている予算は、2020年度以降に写本の画像データを購入する資金として充当していくこととする。

  • Research Products

    (3 results)

All 2019 Other

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results,  Open Access: 1 results) Remarks (2 results)

  • [Journal Article] 中世ヴァルド派詩編『崇高なる読誦』2019

    • Author(s)
      有田 豊
    • Journal Title

      『立命館言語文化研究』

      Volume: 31巻 Pages: 251-270

    • DOI

      https://doi.org/10.34382/00003202

    • Peer Reviewed / Open Access
  • [Remarks] ヴァルド派研究会 - 史料翻訳活動

    • URL

      https://valdesegiappone.org/free/documenti

  • [Remarks] 「異端」とされた宗派の言葉を読み解き、 知られざる思想に迫る

    • URL

      http://www.ritsumei.ac.jp/research/radiant/language/story2.html/

URL: 

Published: 2021-01-27  

Information User Guide FAQ News Terms of Use Attribution of KAKENHI

Powered by NII kakenhi