2020 Fiscal Year Research-status Report
The Cognitive Process of Adjective Production and its Cultural Differences: An Eye-Tracking Study
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19K13159
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
菅谷 友亮 三重大学, 教養教育院, 特任講師(教育担当) (50826625)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 視線計測 / 形容詞 / 言語処理プロセス / 評価 / 文脈依存性 / 高次脳機能 / 文化比較 / 言語心理実験 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、(a) 形容詞表現の理解や産出プロセスを明らかにする様々な視線計測実験の作成と (b) それと関連する日英語話者の文化比較実験をオンライン上で実施し、その研究成果を論文として発表した。
まず (a) に関して、本年度は新型感染症拡大防止の為に実験参加者を募集できないという本研究にとって重大な問題があった。本来ならば、トライアンドエラーの繰り返しによって実験内容を少しずつ改良し精緻化させるが、それができず構築した数多くの実験は当該年度末まで未実施のままであった。最終年度に持ち越された実験を全て実施する予定だが、今年度はその下準備に終始することとなった。具体的には、形容詞表現の「産出」に関わる実験を中心にデザインし、特に、様々な状況(文脈)を示す視覚刺激を描写する課題で、その際の発話内容と視線の動き(停留点)を関連させ分析できる実験を作成した。その新しい実験デザインや手法により、研究の切り口や対象の幅が広がった。 次に (b) に関して、被験者(多くは学生)を研究室等に集める実験が長期間できなかった為、オンライン上で可能な実験を行った。特に、クラウドソーシングを利用し日英語話者を集め、形容詞を含む言語一般に影響を与える心理/認知的な言語文化差を明らかにする日英対照実験を実施した。具体的には、日英語における「事態解釈」「発話内容」「対人関係」の相互関連ついて理論化されていた先行研究を実験実証したが、結果それを支持しなかった。日本語話者の方がイメージと言語表現を結びつける事が得意で、英語話者の方が聞き手の出現に影響を受けるという示唆が得られたことは本研究にとって有意義であった。
以上のように、感染症拡大防止対策等のために研究遂行が計画通りとはいかなかったが、状況の変化に合わせて柔軟に対応しその時々で可能な研究を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当該年度、新型コロナウイルス感染症の世界的流行の関係で実験の被験者を思うように募集できず、視線計測研究は長期間休止せざるを得なかった。代わりに、下準備として実験デザインの蓄積やオンライン上で可能な実験実施を試みたが、それは当初の計画とは異なる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究遂行は感染症の流行状況に依存するところが大きい。社会状況が回復する傾向にはあるので感染症対策を万全に行い対面実験を行う予定である。ただ、国外での視線データを直接取ることは不可能であると考え、オンライン実験も同時並行で行う。
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Causes of Carryover |
メインコンピュータが不調であった為に前倒し請求を行ったが、その後、前所属先(三重大学教養教育院)で教育研究費(個人研究費)が増額されそちらで補填することができたため、その分次年度使用額が生じた。次年度、それは全て実験用ソフトウェアのために使用される予定である。
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Research Products
(1 results)