2021 Fiscal Year Annual Research Report
The Cognitive Process of Adjective Production and its Cultural Differences: An Eye-Tracking Study
Project/Area Number |
19K13159
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
菅谷 友亮 大阪大学, 言語文化研究科(言語文化専攻), 助教 (50826625)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 視線計測 / 日中比較 / 形容詞 / スケール表現 / 視覚世界パラダイム |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度はコロナ禍で対面実験をほとんど実施できずオンライン上で可能な実験に切り替えたが、本年度は実験参加者を集め視線計測実験を行うことができた。最終年度から中国人留学生が多い職場に異動したことで日英比較から日中比較に言語文化比較の焦点を移した。特に、(a) 形容詞を含む様々なスケール表現の日中比較、(b) 指示詞の距離評価の方策に関する日中比較を行った。(a) に関して、日本語用論学会の年次大会での口頭発表に加え、論文を提出し研究成果を報告した。(b) に関して査読論文として「言語文化研究」48号に掲載されただけでなく、その研究成果の一部を日本言語学会秋季大会の口頭発表で報告した。さらに、大阪大学豊中地区研究交流会でポスター発表を行い、一般向けに視線計測の意味論・語用論的な言語プロセスに関する説明や質疑応答を行った。今年度の本研究課題に関する最も重要な研究成果は (a) の論文として報告された。そこでは、SがA(例えば、何かが大きい)という場合に、言語表現として明示されない含意パタンが複数あることを視覚世界パラダイムを用いた視線計測実験により実証した。加えて、特に日本語のイ形容詞で、他のスケール表現(ナ形容詞含む)や中国語と比較して、絶対基準 (standard) の含意パタンを持つ可能性が圧倒的に高いことを発見し、つまりイ形容詞は、日中スケール表現の中で最も文脈的または語用論的思考を働かせて使用されることが多いことが明らかになった。
|
Research Products
(5 results)