2021 Fiscal Year Research-status Report
A Communication Study of Koreans in China: Immigrant, Society, 'Socialization'
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19K13168
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Research Institution | Bunkyo Gakuin University |
Principal Investigator |
新井 保裕 文京学院大学, 外国語学部, 准教授 (10718422)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 朝鮮族 / モビリティ / 言語教育 / 言語選択・戦略 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は朝鮮族のコミュニケーションの多様化を明らかにするため、アンケート調査を実施する予定であったが、2019年度末より世界的に流行している新型コロナウィルス感染症のため移動が制限され、2021年度も現地でのアンケート調査は実施できなかった。また朝鮮族を始めとする移動する人とことばの関係は多様化し、モビリティが分析対象となりつつある近年は量的研究だけでなく質的研究にも注目が集まっている。こうした社会情勢及び研究動向を踏まえて、2021年度は研究計画を一部変更し、既存データ、先行研究の検討に加えて、オンライン・ツールを使用した朝鮮族へのインタビュー調査を実施した。2021年9月に大連市在住の朝鮮族10名にオンライン・インタビュー調査を実施し、大連市在住朝鮮族のモビリティとことばの関係を探った。また2022年3月には同内容の調査を上海市在住の朝鮮族8名に対して行い、現在、データの精査及び分析考察作業中である。 なお並行して既存研究データの精査及び再分析考察も実施しており、2021年4月には「中国朝鮮族学校言語教育の多様性に関する社会言語学的研究―大連市朝鮮族学校及び華東朝鮮族週末学校の事例を中心に」を投稿し、査読付き研究ノートとして刊行した。また同年12月には、自身が編著者を務める『モビリティとことばをめぐる挑戦:社会言語学の新たな「移動」』の中で「中国朝鮮族の言語をめぐる選択と戦略―地域差と性差を中心に」を掲載した。ほかにも合計3件の研究会討論、研究会発表、シンポジウム発表を行い、本研究の成果を公表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の計画では2019年度に予備調査、2020~2021年度に本調査を実施する予定であった。しかし、2019年末より世界的に流行している新型コロナウィルス感染症のため、移動に制限がかかり、現地での調査を行うことが難しくなっている。 ただ2021年度は質的研究、オンライン調査について検討を重ねて2度のオンライン・インタビュー調査を実施することができた。当初の研究課題である「朝鮮族コミュニケーション行動の多様性」を明らかにするだけでなく、この社会情勢の変化も分析考察の材料にし、新たな側面から朝鮮族コミュニケーションについて考えることができるようになっている。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度も引き続き、オンラインのインタビュー調査を実施できるように、現地研究協力者と調整する。また海外渡航制限が緩和された場合は、即時に調査実施を検討できるように現地研究協力者と引き続き準備を進める。 並行して朝鮮族研究のネットワークにも積極的に参加しており、本研究遂行に役立てるほか、本研究課題が朝鮮族研究の進展に繋がるよう連携を図る。 新型コロナウィルス感染症の拡大が朝鮮族のコミュニケーション行動やモビリティに与えた影響も少なくなく、そうした部分も分析対象としていくことで、本課題研究目的の朝鮮族コミュニケーション行動について考察する。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルス感染症拡大に伴い、移動制限がかかり、当初予定していた現地調査を行なえなくなったため。今後は移動制限が緩和された場合に早急に現地調査を行うほか、国際シンポジウムの開催、研究成果物出版も視野に入れる。
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