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2022 Fiscal Year Research-status Report

ママ友に見る対立的場面でのイン/ポライトネスと周縁化

Research Project

Project/Area Number 19K13170
Research InstitutionOsaka Institute of Technology

Principal Investigator

大塚 生子  大阪工業大学, 工学部, 講師 (80759027)

Project Period (FY) 2019-04-01 – 2024-03-31
Keywordsイン/ポライトネス / 周縁化 / 対立 / 談話分析 / 感情 / ママ友 / マウンティング
Outline of Annual Research Achievements

イン/ポライトネス研究は近年、広く対人関係の構築・維持・崩壊にまつわる人々の言語実践を取り扱う分野へと発展してきている。本研究ではママ友という、相互行為において多くの配慮が必要となる人間関係を素材とし、彼女らがどのように他者を周縁化していくのかを明らかにすることを通して、利害・関心や感情が人間関係構築のための言語的交渉にいかに影響を与えているのかを、イン/ポライトネス研究の枠組みに取り入れることを目的としている。
本年度(2022年度)はママ友間の対立的相互行為において、彼女らが「親しさ」を担保に、内容面・言語形式面で互いの親疎の距離を調整することによって攻撃を行なったり、自身の品行を維持したりする複雑なフェイスワークを展開している様子を取り扱い、論文集へ論文を上梓した。国際的には近年、ポライトネスよりもこれまで研究対象から除外されてきたインポライトネスに着目する研究が進む中、日本では未だポライトネスといえばBrown and Levinsonのポライトネス理論をトップダウン式に談話に当てはめて解釈するといったモダンアプローチがまかり通っているという状況において、本論文集は日本において初めて「インポライトネス」を主題とする論文集である。
また、より広範な相互行為における人間関係の交渉を取り扱い説明することを目指したイン/ポライトネス研究の枠組みの拡張の試みの一環として、近年一般での使用が定着してきた「マウンティング」の相互行為を取り扱った。「マウンティング」はこれまでほとんど学術的に扱われてこなかったが、マウンティングの相互行為を観察することにより、言語表現と実際の伝達意味がことなる二重のストラテジーの存在が明らかとなり、イン/ポライトネス研究にフェイスワークの新たな観点を提供できたかに思われる。
また、近年のイン/ポライトネス研究の主要な課題の1つである感情との関連についても論文を上梓した。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

コロナ禍のため、長らく談話データの収集が困難であり、当初分析データとして予定していたママ友間の実際の会話を収集することができておらず、国内および国際学会における成果発表も予定通り進んでいないため、2022年度までの研究課題だったが2023年度に1年の延長を申し出て受理された。2023年度は国際語用論学会(International Pragmatics Conference)において成果発表を行う予定となっており、計画を完遂できる見通しである。
2022年度は、論文による成果発表について、ママ友間会話における対立場面のフェイスワークを扱ったもの、マウンティング会話における攻撃と話し手の品行維持を論じたもの、近年イン/ポライトネス研究において重要な要素と考えられている「感情」とイン/ポライトネスの関係を考察したものの3本を上梓した。
口頭による成果発表については、上記の諸研究について国内および国際学会や招待講義などで複数回発表を行なっており、特に本研究で明らかにしたイン/ポライトネスの枠組みを用いた医療現場におけるディスコースを扱った共同研究は社会言語科学会において発表賞を受賞するなど、すでに一定の評価を得ているものと考えられる。

Strategy for Future Research Activity

コロナ禍のため、ママ友間のデータ収集および分析・発表は予定通り行えなかったが、マウンティング会話やインターネット上の談話を資材とし、本研究の本質的な目的であるイン/ポライトネス研究と人間関係の周縁化に関する研究は進行している。より広い談話を研究対象として扱うことによって、従来「フェイス」(Goffman, 1967)概念のみを基盤としていたイン/ポライトネスの枠組みに対して、相互行為者らの利害・関心や感情の影響など、人間関係の構築・維持・崩壊にかかわる重要な要素を提案した。
現時点で課題期間中にさらなるデータの収集・分析・発表を行うのは困難であるため、2023年度もママ友間会話に限定せずより広い談話を扱い、イン/ポライトネス研究の枠組みを拡充することを目指す方向で成果発表を中心に行なっていく予定である。

Causes of Carryover

当初会話データ収集にともなう謝金および国内・国際学会を対面で行う予定の旅費を使用できていないため、次年度への繰越となった。2023年度は現地での国際学会発表も予定しているため、余剰なく使用する。

  • Research Products

    (10 results)

All 2023 2022

All Journal Article (2 results) Presentation (6 results) Book (2 results)

  • [Journal Article] イン/ポライトネスの参与の枠組みと多面的フェイスワーク2023

    • Author(s)
      大塚生子
    • Journal Title

      第25回日本語用論学会発表論文集

      Volume: 18 Pages: ー

  • [Journal Article] 医療隠語に見る配慮のストラテジー:ポライトネスの観点から2022

    • Author(s)
      ポポヴァ・エカテリーナ、大塚生子
    • Journal Title

      第47回社会言語科学会発表論文集

      Volume: 47 Pages: 120-122

  • [Presentation] イン/ポライトネス研究の地平2023

    • Author(s)
      山下仁、大塚生子、柳田亮吾
    • Organizer
      第30回情報保障研究会
  • [Presentation] Eloquent silence as a counter-heckling measure: An analysis of parliamentary debates at the Japanese Diet2022

    • Author(s)
      Ryogo Yanagida and Seiko Otsuka
    • Organizer
      CADDAD Conference
  • [Presentation] イン/ポライトネスの参与の枠組みと多面的フェイスワーク2022

    • Author(s)
      大塚生子
    • Organizer
      第25回日本語用論学会
  • [Presentation] 医療隠語に見る配慮のストラテジー:ポライトネスの観点から2022

    • Author(s)
      ポポヴァ・エカテリーナ、大塚生子
    • Organizer
      第47回社会言語科学会
  • [Presentation] 「マウンティング」はなぜいやらしいのか:イン/ポライトネス研究の潮流と隠匿のコミュニケーション2022

    • Author(s)
      大塚生子
    • Organizer
      立命館大学
  • [Presentation] イン/ポライトネス研究の潮流とマウンティングのコミュニケーション2022

    • Author(s)
      大塚生子
    • Organizer
      大東文化大学
  • [Book] イン/ポライトネス2023

    • Author(s)
      阿部公彦、大塚生子、佐藤亜美、椎名美智、滝浦真人、福島佐江子、柳田亮吾
    • Total Pages
      272
    • Publisher
      ひつじ書房
    • ISBN
      978-4-8234-1159-5
  • [Book] イン/ポライトネス研究の新たな地平2023

    • Author(s)
      大塚生子、柳田亮吾、山下仁
    • Total Pages
      300
    • Publisher
      三元社

URL: 

Published: 2023-12-25  

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