2019 Fiscal Year Research-status Report
Experimental studies to identify the associative process for novel word forms and perceptual features
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19K13181
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
神原 利宗 広島大学, 教育学研究科, 助教 (90724120)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 連合学習 |
Outline of Annual Research Achievements |
新奇語と感覚情報の連合メカニズムの全体像について明らかにするためには,これまで研究が盛んにおこなわれてきた新奇語と視覚情報もしくは聴覚情報の連合学習のメカニズムだけではなく,新奇語が触覚情報,嗅覚情報,味覚情報と連合する際のメカニズムについても検証する必要があった。そこで,本研究は,新奇語が触覚情報,嗅覚情報,味覚情報と連合する際の行動の変化を計測し,明らかにすることを目的とした。本研究は,言語学,心理学,神経科学などの研究分野が関わる文理融合研究であり,成果を多くの研究分野に還元できること,また語の意味形成の根幹となるメカニズムを明らかにできること,に学術的独自性と創造性がある。本年度は,2つの実験を行なった。1つ目の実験では,日本語母語話者の参加者に,新奇語と触覚情報の連合条件,新奇語のみの条件を学習させた。触覚刺激は,様々な素材を用いて,参加者に視覚的に見えないよう覆いで隠し提示した。その後,再認記憶課題において,提示された単語は,学習課題で学習した単語かどうかを判断させた。再認記憶課題では,回答の成績(正答率)と反応時間を計測した。2つ目の実験では,日本語母語者の参加者に,新奇語と味覚情報の連合条件,新奇語のみの条件を学習させた。味覚刺激として,様々な味の飴を参加者に提示した。その後,再認記憶課題において,提示された単語は,学習課題で提示された単語かどうか,について判断させた。再認記憶課題では,回答の成績(正答率)と反応時間を計測した。結果として,新奇語のみで学習させたときの方が,新奇語と触覚情報の連合や新奇語と味覚情報の連合を学習させた場合よりも,記憶成績が高かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は,新奇語と触覚情報の連合に関わる行動実験,新奇語と味覚情報の連合に関わる行動実験を行なうことができた。両実験とも,あまり実験で用いられてこなかった感覚情報を使用したことから,刺激の選定や実験刺激の提示について,視覚刺激,聴覚刺激を用いた場合よりも,考慮する必要があったが,行動実験を実施することができた。刺激の順序は,学習時と再認記憶課題時の順序を変え,順序効果によって,再認記憶課題の成績(正答率,反応時間)に影響が出ないようあらかじめ考慮することができた。また,触覚刺激,味覚刺激ともに視覚情報を含むが,なるべく視覚情報を学習させないよう考慮することができた。結果として,一度の学習段階では,新奇語と触覚情報の連合条件,新奇語と味覚情報の連合よりも,新奇語のみの条件の方が学習しやすいことがわかった。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウイルスの影響で,対面実験が難しい状況であることから,当面は対面実験ではなく,オンライン実験で,語と感覚情報の連合に関する検証を進めていく予定である。具体的には,語と感覚情報のイメージの連合学習が,語の理解や再認記憶に及ぼす影響について検証する予定である。対面実験が可能になった段階で,前回の実験で検証できなかった新奇語と嗅覚情報の連合に関する行動実験を行なう予定である。同時に,語と触覚情報の連合,語と味覚情報の連合の学習過程を明らかにするため,2日間以上の行動実験を行なう予定である。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は,新奇語と嗅覚情報の連合に関する行動実験を年度内に実施できなかったことなどが原因である。次年度以後,対面実験が可能となった段階で,新奇語と嗅覚情報の連合学習に関する実験を行ない,実験に必要となる費用(刺激,参加者に対する謝金)に使用する予定である。また,当面新型コロナウイルスの影響で,対面実験が難しいことから,対面実験を行なえるようになるまで,オンライン実験を推進するための費用としても使用する計画である。
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