2020 Fiscal Year Research-status Report
The linguistic study of the oral literature of Tunis Arabic
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19K13183
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Research Institution | Tokyo University of Social Welfare |
Principal Investigator |
熊切 拓 東京福祉大学, 留学生教育センター, 特任講師 (60802387)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 言語学 / マグレブ方言 / チュニジア / チュニス / アラビア語 / モダリティ / 談話 / 情報構造 |
Outline of Annual Research Achievements |
アラビア語チュニス方言の口承文芸の語りの構造を、語順、主題化、モダリティなどに着目することで明らかにするのが、本研究の目的である。この目的のため、言語学的調査・研究とともに、口承文芸の理解に不可欠な文化的調査も並行して行う予定であったが、研究計画2年目である2020年度は、新型コロナウィルスまん延の影響のため、当初の計画を大幅に見直さざるをえなかった。 そのため、2020年度は、現地調査を行わず、これまでの資料の整理、分析、および、研究成果の公表に注力することとした。 まず、資料の整理であるが、本研究の主要な資料である『アル・アルウィー物語集』全4巻について、これまでの語彙的・文法的調査のデータ化を完了した。また、未調査の部分(第4巻の3分の2程度)についてもまた、語彙や文法に関する質問事項を整理し、今後の調査に備えた。 また、研究成果公表として、アラビア語チュニス方言に関する論文執筆と口頭発表を積極的に行った。具体的な内容は、論文が、動詞アスペクトと談話標識に関するものと、語りにおいて特殊な効果を持つ「心性与格」に関するものの2点、学会発表は、被害や受益などの意味を表わす与格構文に関するもの、語順のもつ談話的機能に関するもの、未完了形と非現実性との関連を論じたものの3点である。これらに加えて、2020年度は2本の論文を学会誌に投稿している。 さらに、博士論文を公刊すべく研究成果公開促進費にも応募した。その際に、博士論文を大きく改訂し、本研究計画の実施により得られた知見を盛り込んだ。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
当初の研究計画では2020年8月と2021年3月に、チュニス(チュニジア共和国)での現地調査を行う予定であったが、新型コロナウイルスの影響で、実施が不可能となった。そのかわり、日本国内でできること(調査資料のデータ化、研究成果の公表、研究成果公開促進費への応募)に専念し、これらについては大きな進展が見られたが、もともとの研究計画の実施という点では、十分に推進することができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウィルス収束の見通しが立たない現在、チュニスでの現地調査の予定を立てるのは困難である。そこで、現地調査が可能になるまでの間は、以下の5つの研究活動を行い、研究計画を推進する。1. これまでの調査資料のデータ化、2. 『アル・アルウィー物語集』のコーパス構築、3. チュニジアの口承文芸に関する文献調査、4. 上記の3つの研究活動によって得られた研究成果の公表、5. 今後の現地調査に向けた下準備(調査項目の設定、現地との交渉など)。
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Causes of Carryover |
当初の研究計画では2020年8月と2021年3月に、チュニス(チュニジア共和国)での現地調査を行う予定であったが、新型コロナウイルスの影響で、実施が不可能となったため、次年度使用額が生じた。2021年度は情勢を見極めつつ、現地調査を実施する予定であるが、不可能となった場合は、研究計画の目的に添って新たに使用計画を立て、実施する。
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