2021 Fiscal Year Research-status Report
The linguistic study of the oral literature of Tunis Arabic
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19K13183
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
熊切 拓 東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 研究員 (60802387)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | アラビア語方言 / チュニジア / 口承文芸 / モダリティ / 語り / 非現実性 / 語順 |
Outline of Annual Research Achievements |
アラビア語チュニス方言はチュニジア共和国の首都チュニスを中心に話されているアラビア語方言のひとつである。本研究の目的は、このチュニス方言で記録された口承文芸を資料として、その語りの構造を、語順、主題化、モダリティなどに着目することで明らかにすることにある。 この目的のため、言語学的調査・研究とともに、口承文芸の理解に不可欠な文化的調査も並行して行う予定であったが、研究計画 3 年目である 2021 年度は、新型コロナウィルスまん延の影響のため、前年度と同様、現地調査を行うことが不可能であった。 そのため、2021 年度は、研究成果の公表に注力することとし、アラビア語チュニス方言に関する論文執筆と口頭発表を積極的に行った。年度内に 3 本の論文を公刊した。動詞の未完了形の機能を論じた論文は、語りにおける未完了形の機能についての研究に発展した。与格構文の意味を論じた論文では、語りにおける視点を取り入れて分析を行った。3 番目の論文では、動詞-主語の語順となる VS 構文が語りにおいてもつ機能を論じた。これらに加えて、現在、1 本の論文を投稿中である。口頭発表は 3 件行った。 さらに、2021 年度の研究成果公開促進費(学術図書)の助成により、『アラビア語チュニス方言の文法研究 - 否定と非現実モダリティ』(ひつじ書房)を刊行した。同書にも、本研究計画の実施により得られた知見が盛り込まれている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
当初の研究計画では 2021 年 8 月と 2022 年 3 月に、チュニジア共和国での現地調査を行う予定であったが、新型コロナウイルスの影響で、実施が不可能となった。そのかわり、日本国内でできること(資料の分析、研究成果の公表)に専念し、これらについては大きな進展が見られたが、もともとの研究計画の実施という点では、十分に推進することができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウィルス収束の見通しが立たない現在、チュニスでの現地調査の予定を立てるのは困難である。そこで、現地調査が可能になるまでの間は、以下の 5 つの研究活動を行い、研究計画を推進する。1. これまでの調査資料のデータ化、2. 『アル=アルウィー物語集』のコーパス構築、3. チュニジアの口承文芸に関する文献調査、4. 上記の 3 つの研究活動によって得られた研究成果の公表、5. 今後の現地調査に向けた下準備(調査項目の設定、現地との交渉など)。
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Causes of Carryover |
当初の研究計画では 2021 年 8 月と 2022 年 3 月に、チュニジア共和国での現地調査を行う予定であったが、新型コロナウイルスまん延の影響で、実施が不可能となったため、次年度使用額が生じた。2022 年度は情勢を見極めつつ、現地調査を実施する予定であるが、不可能となった場合は、研究計画の目的に添って新たに使用計画を立て、実施する。
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