2022 Fiscal Year Research-status Report
The linguistic study of the oral literature of Tunis Arabic
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19K13183
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
熊切 拓 東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 研究員 (60802387)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | アラビア語方言 / チュニジア / 口承文芸 / ナラティブ / モダリティ / ミラティブ / 語順 / 文法 |
Outline of Annual Research Achievements |
アラビア語チュニス方言はチュニジア共和国の首都チュニスを中心に話されているアラビア語方言のひとつである。本研究の目的は、このチュニス方言で記録された口承文芸を資料として、その語りの構造を、語順、主題化、モダリティなどに着目することで明らかにすることにある。 資料として用いたのは、チュニス方言の民話を 111 話集めた『アル=アルウィー物語集』である。チュニジアのアラビアン・ナイトとでもいうべき作品だが、地中海文化の影響も随所に見られる興味深い文献である。また、語り手であるアル=アルウィーの巧みな語り口も魅力となっており、生き生きとした語りの分析にはうってつけの資料といえる。 本研究の目的の遂行のため、言語学的調査・研究とともに、口承文芸の理解に不可欠な文化的調査も並行して行う予定であったが、研究計画 4 年目である 2022 年度は、新型コロナウィルスまん延の影響のため、前年度と同様、現地調査を行うことが不可能であった。 そのため、2022 年度は、研究成果の公表に注力することとし、アラビア語チュニス方言に関する論文執筆と口頭発表を行った。年度内に語りにおいて未完了形が「驚き」を表す用法を記述した 1 本の論文を公刊し、語りと語順、モダリティ、主題化などに関する 3 件の口頭発表を行った。また、研究環境を整備し、これまで得た方言資料のデータ化、文献調査などを行った。 これまでの研究により、チュニス方言の語りの言語学的な側面について、かなり理解を深めることができたと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
当初の研究計画では、チュニジア共和国での現地調査を行う予定であったが、新型コロナウイルスの影響で、実施が不可能となった。そのかわり、日本国内でできること(資料の分析、研究成果の公表)に専念したが、本来の研究計画の実施という点では、十分に推進することができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
チュニスでの現地調査を複数回行い、これまでの研究計画の遅れを取り戻す予定である。また、まとめとして、研究成果の公表と報告書の作成を行う。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスまん延の影響のため、現地調査を行うことができなかった。次年度は複数回現地調査を行い、本来の研究目的を遂行する予定である。
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