現代日本語における「名詞の助数詞的用法」の実態解明を目指した雑誌コーパスの構築

2019 Fiscal Year Research-status Report

• Project/Area Number: 19K13184
• Research Institution: Mejiro University
• Principal Investigator: 東条 佳奈 目白大学, 社会学部, 専任講師 (20782220)
• Project Period (FY): 2019-04-01 – 2023-03-31
• Keywords: 名詞 / 数量表現 / 助数詞 / コーパス / 雑誌

Outline of Annual Research Achievements

本研究は、助数詞のように数詞に続いて用いられる名詞である「名詞の助数詞的用法」を複数のコーパスより収集し、その成立・拡大過程を明らかにすることを目的とする。「名詞の助数詞的用法」には「4閣僚を更迭」の「閣僚」のように、ものを数え上げるためには使われず、従来の助数詞・名詞研究で言及されなかった新たな数量表現である「擬似助数詞」が含まれる。本研究ではこれらを包括的に分析することで「名詞の助数詞的用法」の実態解明を最終目標とする。助数詞はフォーマルな書き言葉に多いが、現状、経年的に調査可能な資料は新聞以外にないため、本研究では新たに雑誌コーパスを作成し、既存のコーパスとの比較を通じて文章特性を探っていく。
一年目である本年は、2015年版の雑誌コーパスを作成することを目標に作業に従事した。雑誌の選定には国立国語研究所（2005）『現代雑誌の語彙調査―1994年発行70誌』を参考に、「総合・文芸」「女性・服飾」「実用」「趣味・娯楽」「芸術・科学」の5分野より、規模を考慮しながら選定を行った。経年的な変化を見ることを目標の一つとしているため、できる限り同じ雑誌を収集した。しかし、94年からの10年で廃刊・休刊しているものも多く、また、販売終了している資料の入手という点にも時間がかかり、当初の予定であったコーパス作成及び分析までは至らなかった。次年度は入手済のものから電子化を行い、作成したプレーンコーパスより用例の収集と整理、分析にあたりたい。

Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

当初の計画よりも資料の収集・選定に時間がかかっており、計画通りに進まなかった。また、作業補助者が見つからず、一人で行わなければならなかったという点も計画の遅延につながった。

Strategy for Future Research Activity

次年度は、収集した資料の電子化をまず行い、そこから助数詞の名詞的用法を抽出することを第一の目標とする。そのうえで、他の資料との比較・分析を行う。また、年度後半では1985年の資料の収集にあたる予定のため、雑誌の選定を早めに済ませる必要がある。
新型コロナウイルスの影響で、対面で作業補助を依頼すること、資料収集のために書店や図書館を回ることは難しいと思われるため、人手を必要とせず、まだウェブで収集可能な資料を用いて作業にあたりたい。

Causes of Carryover

研究計画が当初の予定より遅延した結果、資料の電子化にかかる費用を未使用のまま繰り越すこととなった。本年に使用できなかった額については、次年度、入手できなかった資料の購入のほか、2019年度に行う予定であった資料裁断・テキスト化（いずれも専門業者に発注）及び作業補助者の雇用に充てる。