2019 Fiscal Year Research-status Report
On the development of Chinese modals into connectives and discourse markers: Constructionist and typological perspectives
Project/Area Number |
19K13191
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
朱 冰 関西学院大学, 言語教育研究センター, 講師 (30827209)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | モダリティ / 中国語 / 構文化 / 文法化 / 言語類型論 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度は、パターンa「法助動詞の接続詞化」とパターンb「禁止表現の接続詞化」を中心に、具体的な拡張例に対する記述・分析を行った。具体的に、パターンaでは、中国語のモダリティから次の3つの拡張経路を同定した。 ①束縛的必然性「-しなければならない」(例:必須、要)> 必要条件「-してはじめて」;②認識的必然性「-はずだ」(例:要)> 条件「-たら」;③認識的可能性「-かもしれない」(例:可能)> 譲歩「-にもかかわらず」 一方、パターンbでは、禁止の意味を表す副詞“別”と一部の動詞の組み合わせ“別V”「-しないで、-するな」が一語化し、接続詞に転成する現象が観察される。具体的には、次の3つの拡張経路が挙げられる。 ④禁止(例:別説「-言わないで」、別提「-触れないで」)> 尺度添加「-は言うまでもなく」;⑤禁止(例:別看「-見ないで」)>譲歩「-にもかかわらず」;⑥禁止(例:別管「-気にかけないで」)> 譲歩条件「-であろうとなかろうと、どんなに-であろうとも」 各例の発達プロセスと変化のメカニズムに見られる共通点と相違点を明らかにした上で、構文文法の観点から同一パターンに属する拡張例の関係を示すネットワークを構築できることが強く示唆された。 また、モダリティと密接に関わる条件表現にも目を向け、条件節の非従属化(形式的には一見明白な基準で従属節のように見えるものの慣習化された主節用法)についても探索した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
各拡張例に対する記述に基づき、構文ネットワークを通じて各拡張例の関係を明らかにする可能性が示唆され、今後の総合考察に基礎を築き上げた。そして2019年度の研究成果の一部は、認知言語学の国際学会(第15回国際認知言語学会)での口頭発表や論文集論文(『認知言語学論考 No.15』校対中)、大学の紀要論文でまとめ、研究成果の発表も着実に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度は、パターンcの「法助動詞(節)の談話標識化」に対する考察を集中的に行う。談話標識の機能を記述する際には、異なるレジスターとジャンルのデータを考慮する必要があるので、十分な時間をかけて綿密な調査と分析を行う。
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Causes of Carryover |
2020年3月に発表を予定していたフランスで開催される国際学会が、新型コロナウイルス感染拡大の影響でキャンセルされたためである。2020年度は、新型コロナウイルスの感染状況を確認しながら、他の国際学会での発表を計画するものと考える。
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