2020 Fiscal Year Research-status Report
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19K13192
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
謝 平 福岡大学, 人文学部, 准教授 (70768241)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 場面文 / 存現文 / 時間詞 / 場所詞 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、現代中国語における場面文の成立要因及び各構文のメカニズムを明らかにすることを目的とする。2020年度は前年度で調べた用例、及び研究業績に基づいて、存現文についてVP(動詞部)及びNP2(主体部)との関連性から文頭に置かれるNP1(場所部)を考察した。存現文のNP1における以下の点を中心に考察した。 (1)存現文の文頭の位置にあるのは、場所や時間などを表す語句であるが、多くの研究では、場所詞だけでなく、時間詞も存現文の主語の役割を担うことができると指摘されているが、「時間」を表す語句は「状語」(連用修飾語)に過ぎないと指摘する研究もある。分析の結果、「時間」を表す語句より、「場所」を表す語句が優先的に求められることがわかった。 (2)存現文の文頭に置かれる「場所」を表す語句には、介詞「从」、「在」をつけないのが一般的であるが、存現文の文頭に介詞を加える使用例もみられる。考察した結果、介詞フレーズの主な機能は、「状語」として述語を修飾することであり、存現文のNP1は動詞部にかかるのではなく、NP2にかかるため、「状語」のマーカーである介詞を加える必要がないことがわかった。とはいえ、介詞を加えることによって、NP2の所在場所を限定的に提示し、より鮮明的に表現することができる。 (3)自然現象文は、語順は存現文と同じであるものの、「NP主体+V+在+NP場所」の語順に変換することができないため、「存現文」ではないとする指摘もある。しかし、考察の結果、NP1に漠然とした場所を表す語句ではなく、NP2の最終的にたどり着く主体と接触する接触面を具体的に示す語句が用いられる場合は、変換が可能な場合がある。自然現象文は、形式的にも意味的にも存現文の条件に合っているため、存現文の一種と見なすべきである。 以上の研究成果はまず九州中国学会の大会で口頭発表した上、論文にまとめた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2020年度はおおむね計画の通り、研究を進めることができた。最初の計画では、2020年度と2021年度は主に、場面文の「主体部」(NP2)と「場所部」(NP1)を中心に検討する。上記の業績概要でも書いたように、本年度は計画通り、存現文の「主体部」(NP2)、「動詞部」(VP)との関連性から、場所部(NP1)の意味機能を中心に考察することができた。 但し、去年と同じく、コロナ禍の中なので、予定していた中国での資料調査は行うことができなかったため、手に入らない資料もあるので、日本で入手できる資料に頼って研究している。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度は存現文だけではなく、場面文のほかのパターンの使用状況を丁寧に観察し、各パターンの意味と語順の特徴を解析する。 ①場面文についての先行研究を収集しする。引き続き使用例のデータベースを構築する。 ②同じ動詞であっても、異なるパターンにおいては、それぞれの意味特徴が異なると思われる。各パターンの動詞部を考察する。 ③場面文の三要素「主体部」、「動詞部」、「場所部」を分断して考察するのではなく、それぞれの関連性を見出し、各語順の特徴を明らかにすることを試みる。
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Causes of Carryover |
コロナで中国への出張が出来なかった。また、学会発表はオンラインになっており、旅費も発生しなかったのである。
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Research Products
(2 results)