2022 Fiscal Year Research-status Report
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19K13192
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
謝 平 福岡大学, 人文学部, 准教授 (70768241)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 存現文 / 呼蘭河傳 / 動詞部 |
Outline of Annual Research Achievements |
「存現文」や「場面文」については、これまで文脈なしの例文を取り上げて研究されることが多かった。また、存現文の実際の使用状況についての研究も少なかったと言えます。本研究では、独自で構築してきたデータベースを語用論の視点から考察しようと考えております。2022年度はまず動詞部の形式的な特徴によって存現文を分類した上で、『呼蘭河傳』という小説に使用される存現文の用例を種類別に整理し、各種類の存現文における小説での使用状況を考察しました。 動詞部による分類については、範方蓮(1963)、宋玉柱(1991)、雷濤(1993)、潘文(2006)、帥志嵩(2017)などの先行研究が挙げられます。本研究では、これまでの先行研究の成果を踏まえ、八類に分類することを試みました。 また、『呼蘭河傳』での存現文の使用状況を調べた結果、『呼蘭河傳』では、上記の八種類はすべて使われているものの、最も多く使用されるのは、d.「V+着」、a.「有」、e.「V+(C)+了」の三種類であることがわかりました。また、各種類の表す意味については、「有」、「V+着」、「是」と「動詞なし」の四種類は、一般的に「出現」、「消失」を表さず、主に「存在」を表す。この四種類以外のb.「“有”以外の裸動詞」、c.「V+C」、e.「V+(C)+了」、f.「V+過」は「存在」を表すことができるだけではなく、「出現」と「消失」を表すこともできることが明らかになりました。 以上の研究成果は研究ノートにまとめて、今投稿中です。掲載予定紀要:『人文論叢』(福岡大学研究推進部)第55巻第1号
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2022年度はコロナ禍の原因で、予定していた中国での資料調査は実施することができませんでした。また、例文のデータを整理するにもかなりの時間がかかっており、当初の計画より少し遅れています。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は主に以下のような研究を進めていきたいと思います。 1.場面文の各種類の機能を語用論の視点から考察します。 2.独自で構築してきたデータベースに基づいて場面文の使用状況を明らかにし、場面文に関する教育に提案を行います。
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Causes of Carryover |
2022年度はコロナ禍が原因で、予定していた中国での資料調査は実施することができなかったため、次年度使用が生じました。 2023年度は必要な書籍を購入します。また学会発表の予定があるため、学会発表参加費及び出張費に充てます。さらに、中国へ資料調査に行く予定があり、調査費用などに充てる予定です。
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