2019 Fiscal Year Research-status Report
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19K13193
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Research Institution | Shigakukan University |
Principal Investigator |
白田 理人 志學館大学, 人間関係学部, 講師 (60773306)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 疑問文 / 文法記述 / 言語行為 / 埋め込み疑問文 |
Outline of Annual Research Achievements |
喜界島・奄美大島の諸方言を対象に、疑問文に関する調査研究を行った。主な研究実績は以下2点である。 1. 埋め込み疑問文について 北琉球においては,疑問文の埋め込みに際して,焦点助詞=gaが現れ,述語が接辞-raをとった構造が見られることが指摘されていたが、奄美大島方言についてはこれまで詳細な記述がなかった。本科研では、奄美大島大和村今里方言を対象に埋め込み疑問文について調査研究を行い、その結果、(i)焦点助詞=gaと推量接辞-roを含む構造と、(ii)埋め込み疑問助詞=garoを用いた構造の二種類の埋め込み構造が見られることを明らかにした。さらに、(i)と(ii)の二つの構造のうちどちらの構造が用いられるかの条件、(i)の場合に焦点助詞=gaが埋め込み文中のどこに現れるかの条件や、埋め込み構造の他方言との相違点について論文にまとめ、報告した。 2. 話し手の行為遂行を表す疑問文について 奄美大島・喜界島の諸方言において、日本語のシヨウカのように話し手が遂行しようとする行為に関わる疑問文の文末形式として、接辞-(yu)mIが用いられることが断片的に報告されていたものの、詳細な記述はなかった。本科研では、喜界島小野津方言を対象に、接辞-(yu)mIとこれ以外の四つの文末形式の機能を、(i)真偽疑問文か疑問詞疑問文か、(ii)話し手の行為遂行に関わるか否か、(iii)聞き手に答えを求めるか否かという三つの基準から整理し、その結果を学会発表にて報告した。 以上1, 2に加え、(i)理由疑問文の特殊性、(ii)指示詞の疑問文末標識への変化、(iii)疑問文末標示の助詞から接辞への変化、(iv)日本語のノ相当の準体形の疑問文末における分布と述語の種類の関係について、研究会のシンポジウムにおいて今後の研究課題として報告し、フィードバックを得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
全般的にはほぼ当初の計画通り、喜界島・奄美大島の諸方言について調査研究を行い、論文・発表などで報告することができた。ただし、2020年2月末以降は、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、調査を自粛せざるを得ず、計画通り研究を進めることができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、日本語のノ相当の、準体形式の疑問文末形式としての機能を中心に研究していく予定である。ただし、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、2020年度の多くの期間は現地調査ができない可能性が高い。調査ができない期間は、これまでに得たデータの整理や、今後の調査方法の検討に充てる予定である。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染拡大に伴い、2月末以降の現地調査を自粛したため、次年度使用額が生じた。事態が収束してから調査のための旅費として使用する予定である。
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Research Products
(3 results)