2019 Fiscal Year Research-status Report
不定の助詞の地域差と歴史的推移から見た日本語文法史
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19K13198
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Research Institution | Shirayuri College |
Principal Investigator |
川瀬 卓 白百合女子大学, 文学部, 准教授 (80634724)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 副詞 / 古代語 / 近代語 / 分析的傾向 / 不定語 / 不定 / 助詞 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、不定の「やら」「ぞ」「か」の地域差と歴史的推移、および関連する文法変化を明らかにすることを目指すものである。2019年度における研究業績は、以下のとおりである。
発表「副詞から見た古代語と近代語」日本語文法学会第20回大会、於学習院大学、2019年12月7日
これは、個別の語史の記述にとどまりがちな副詞の歴史を日本語文法史の問題として捉え直し、副詞を視点として古代語と近代語の相違点を考察したものである。副詞から見た古代語と近代語の相違として、(1) 副詞の発達と (2) 副詞と陳述的意味との呼応の分化を指摘し、これまでの文法史研究で言及されてきた近代語の分析的傾向と関連づけた。(1)副詞の発達については、その内実を問う必要があることを指摘したうえで、近代語で発達したと言えるタイプの副詞に関する仮説を提示した。(2) 副詞と陳述的意味との呼応の分化については、次の2つの事例を示した。1つは仮定・可能性想定と呼応する副詞(「もし」「もしかすると」類、「ひょっとすると」類)で、もう1つは不定語と助詞によって構成される副詞(「いかにも」「どうも」「どうぞ」「どうか」)である。後者の事例は、不定の助詞の成立以前と以後とで、日本語の文法や語彙にどのような違いがあるのかということの一端を示すものでもある。 なお、不定の「やら」「ぞ」「か」については、現在、近世後期以降のデータを集めているところである。今後、中央語か地域語かといった、言語の社会的位置づけにも注意を払いつつ、上方語・大阪語と江戸語・東京語の地域差と歴史的推移を分析していく。その結果については、2020年度以降に公表する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
不定の「やら」「ぞ」「か」のデータ収集については予定よりやや遅れぎみであるが、一方で、古代語と近代語の違いについて、おおまかな見通しをつける発表を行うことができた。総合的に見れば、おおむね順調に進展していると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウイルス感染症の影響で、出張や図書館の利用が難しい等、研究活動がかなり制限されている。国立国語研究所が開発中の日本語歴史コーパス(CHJ)のように、Web上で利用できる資料を活用して研究を進めていきたい。
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Causes of Carryover |
当初、2020年3月に研究会への参加を複数予定していたが、新型コロナウイルス感染症の影響により全てキャンセルとなったため、20万円以上の次年度使用額が生じた。 今後の状況はまだ予想できないが、状況が改善されれば、開催延期になった研究会への出張等で利用する。また、リモートワークという形態で研究補助を行ってもらう(人件費にあてる)ことも検討する。
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Research Products
(1 results)