2019 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
19K13204
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Research Institution | Nagoya Women's University |
Principal Investigator |
市村 由貴 (渡辺由貴) 名古屋女子大学, 文学部, 講師 (10569776)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 複合辞 / 連語 / コーパス / N-gram / 中世語 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、『日本語歴史コーパス』(CHJ)から取得した中古から近代語の多様な資料のN-gramデータをもとに、以下の観点から語の連続を通時的かつ計量的に整理・分析するものである。 ①日本語史上にみられる複合辞・連語にはどのようなものがあり、それぞれの時代・資料においてどのくらい使われているのか(通時的な複合辞・連語一覧表の作成)。 ②通時的観点から、どのような語が一語化し、複合辞や連語の要素となりやすいのか。 ③一度固定化した複合辞や連語が衰退する際のメカニズムはどのようなものであるか。 コーパスデータから一律に抽出された語の連続を検討のベースとし、数的根拠に基づき複合辞および連語の時代別・資料別使用状況を示すことにより、従来見過ごされてきた形式をあぶりだしながら複合辞および連語の通時的な使用状況とその形成・衰退過程の全体像に迫ることができ、複合辞・連語の語誌研究およびその理論構築に寄与することが期待される。 本年度は、上記のうち主に①②について検討するため、『日本語歴史コーパス』の室町時代編を中心とした複数資料より2~7語のN-gramデータを抽出して整備し、このデータに複合辞・連語・引用表現・定型的表現等の情報を付与した。また、同じく中世口語資料とされる『虎明本狂言集』と『天草版平家物語』におけるN-gramデータの比較を行い、その共通する点や相違する点を整理した上で、中世口語表現の特徴や各資料の特徴等について検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は計画に基づき複数の資料において複合辞・連語情報付与用N-gramデータの作成と整備を進め、そのデータを元に資料間の複合辞・連語の使用状況の比較を行うことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度に検討した複合辞・連語等の情報付与方針を別時代の資料にも応用しながら研究を進めていきたい。 また、情報付与の精度を高めるための方策を検討したい。
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Causes of Carryover |
学会中止等により旅費が、作業者に依頼予定だった業務を本年度は申請者自身が行ったことにより謝金が、予定額を下回った。次年度は状況にあわせて学会参加と作業者への業務依頼を行う。
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Research Products
(1 results)