2019 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
19K13216
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Research Institution | Hokkaido University of Education |
Principal Investigator |
椙本 顕士 北海道教育大学, 教育学部, 准教授 (90712274)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 異なる文法範疇を持つ動詞句内要素の等位接続 / 使役起動交替 / 使役的心理動詞の自他交替 / 非特定的目的語交替 |
Outline of Annual Research Achievements |
使役起動交替動詞(e.g. move)、心理動詞(e.g. worry)、に加え、非特定的目的語交替動詞(e.g. eat)も研究対象とし、これらを比較しながら動詞句の構造を調査した。特にGrosu(1985/1987)の先行研究に基づき、異なる文法範疇(機能)を持つ動詞句内要素が等位接続されている構文HCC(Heterofunctional Coordinate Construction)のデータを収集・観察した。またGrosu(1985/1987)では気づかれていなかった新たな事実も発見することができ、さらにそこに観られる規則性を明らかにした。またこの規則性の背後には、削除操作が関与していると提案し、eat とworry/move の動詞句の等位接続における振る舞いの違いを動詞句の機能投射の違いと削除に課せられる復元可能性の観点から説明できることを示した。以下具体的な提案とその帰結をまとめておく。1. HCCは動詞句同士の等位接続と第二等位項の省略により派生する。2. 動詞句同士の等位接続であることによって、2つの交替形が関与することを説明できる。3. 動詞句同士の等位接続であることによって、2つの出来事として解釈されることを説明できる。4. 動詞句同士の等位接続であることにより、LCLの例外ではないと言える。5. 省略による派生であることによって、eatとworry/moveによる振る舞いの差を捉えることができる。6. HCCの認可条件とされてきたものは、記述的に妥当ではなく、削除に課せられる復元可能性の観点から捉えた方がより広範囲に及ぶ事実を捉えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究に新たに「動詞句の等位接続」という観点が加わったことで、研究に広がりが出てきたためやや遅れが出ている。具体的には、当初上記で示した動詞句類以外にも研究対象としていたものがあったが、それらについてはまだ調査できていない。
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Strategy for Future Research Activity |
基本的には研究計画通りに進める。ただし現在までの進捗状況にも書いた通り、新たな観点が加わったことにより、調査すべき内容が増えたため、これについても引き続き調査を行う。
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Causes of Carryover |
デスクトップパソコンを購入する予定であったが、若干予算が足りなくなったため、翌年度分と合わせて購入することを予定しているため。
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