2021 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
19K13216
|
Research Institution | Hokkaido University of Education |
Principal Investigator |
椙本 顕士 北海道教育大学, 教育学部, 准教授 (90712274)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 移動様態動詞 / 非対格動詞 / 主要部移動 / Manner Incorporation / 軽動詞 |
Outline of Annual Research Achievements |
移動様態動詞(e.g. float, roll, bounce)の統語構造について研究している。特に動詞句削除や擬似空所化、do so代用などのテストを用いて、この動詞類が非対格動詞として用いられる場合(1)の動詞句構造と非能格動詞として用いられる場合(2)の動詞句構造を調査している。 (1) The boat floated into the cave. (2) The boy floated (in place).
現時点では、次の3つの可能性が示唆される。(i)Alexiadou, Anagnostpoulou, and Schafer (2015)などの分析と異なり、becomeフレイバーの軽動詞を想定する必要性があること。(ii)移動様態動詞の非対格用法には2種類の構造の存在が認められること。(iii) Folli and Harley(2019)などで想定されるManner Incorporationには2つのパターンがあること。(つまり彼らが想定するパターンの他にもう1パターン存在すること。) (i)の可能性の追究は、研究課題である「機能投射の必要性」の解明に直接貢献することになる。また(ii)の可能性は、非対格動詞の構造の新たな分析を提供する点で有意義である。また(iii)の可能性の追究は、Matushansky(2006)やFolli and Harley(2019)で論じられているHead Movementのパターンにおいて、論理的に可能な新たなパターンの存在を例証することに繋がるという意味で価値がある。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
移動様態動詞の統語構造を解明する際に、動詞句削除や擬似空所化を用いて調査してきたが、議論の精度をさらに上げるために別のタイプの照応のデータとしてdo so代用を追加した。また研究を進める中で、動詞句削除とdo so 代用の可否に非対称性が見られることがあり、その原因を追求する必要性もあることがわかった。このように研究に新たな視点が加わったことで研究に広がりが出てきたために遅れが生じている。またコロナの影響もあり、研究発表・論文投稿の計画にも遅れが出ている。
|
Strategy for Future Research Activity |
引き続き、移動様態動詞の統語構造について残りの研究を進める。本年度は動詞句削除、擬似空所化、do so代用の3種類のデータに絞って研究を進めていく。 また研究期間の延長を計画している。理由は以下の通りである。 ①現在までの進捗状況にも書いた通り、新たな観点が加わったことにより、調査すべき内容が増えたため。 ②コロナの影響もあり、研究発表・論文投稿の計画にも遅れが出ているため。
|
Causes of Carryover |
理由:コロナ禍のため、予定していた出張ができず次年度使用額が生じた。 使用計画:旅費に予定していた金額の一部は、物品費に回すように工夫する。また研究期間の延長も検討する。
|