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2019 Fiscal Year Research-status Report

古英語・中英語の使役・勧誘表現:語彙交代とモダリティを中心に

Research Project

Project/Area Number 19K13227
Research InstitutionMeiji University

Principal Investigator

海田 皓介  明治大学, 商学部, 専任講師 (50827219)

Project Period (FY) 2019-04-01 – 2022-03-31
Keywords使役 / 勧誘 / 助動詞 / 法助動詞 / モダリティ / ゲルマン語
Outline of Annual Research Achievements

本研究は英語における「使役」と「勧誘」の概念を表す語彙の歴史的な交代関係を大きなテーマとしているが、初年度は主に「勧誘」表現の発達について研究を行った。まず初年度は「勧誘」表現の形式である「定動詞 + we」の表現を古英語の電子コーパス(The Dictionary of Old English Web Corpus)から採取し、データベースを構築した。この語順を取る構文が全て「勧誘」を表すわけではないが、この語順は「勧誘」を表す形式の一つとなる。この構造に見られる本動詞のみならず、主に法助動詞magan (> 現代英語 may), motan (> 同 must), sculan (> 同 shall), willan (> 同 will)やこの概念を明示する助動詞uton (初期中英語にて消失)について用例を採取した。こうした語順から得られる読み取りについての研究内容をそれぞれ部分的にではあるが、国内外での口頭発表や論文集への寄稿論文の形で公表した。
この過程からは、「勧誘」表現の見られる場面自体がどのようなものであるかを更に詳しく分析する必要性や、「勧誘」という概念そのものが持つ性質もより詳細に議論する必要性が感じられた。特に後者については、話者が聞き手にある行為を共に行うことを呼びかけるという概念の他、話者の存在がこの呼びかけの行為において必ずしも明示されないケースも想定され、これらの事例の共通点と相違点をまとめていく。本年度は「勧誘」という概念のもとに語順・個々の(助)動詞の語法・モダリティがどのように関連し、語彙交代に影響を及ぼすかという点について、今後調査を進めていく方針を得た。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

申請計画提出時は、本年度中に(a)「使役」と「勧誘」表現に用いられる語彙の語源・ゲルマン語同根語の語法調査と、(b)古英語・中英語の用例採取およびデータベースの構築を行うこととしていた。両調査は完成はしていないものの、形になりつつある。特に(b)については、上記「定動詞 + we」の語順の他、古英語で「使役」表現の中心的役割を占めるhatan'to call / to command (someone to do something)'についてのデータベース化を行った。ここには、hatanに接頭辞be-, ge-が付加されたbehatan 'to promise'とgehatan(これらの意味全てを含む多義語)も含まれ、従来の研究ではほとんど考慮されていない、接頭辞による派生形の研究にも適用できるものとなっている。一方で「使役」助動詞のdo, let, make, また「勧誘」助動詞utonについては現在も用例の採取および登録を進めている。

Strategy for Future Research Activity

研究内容について、上記語彙のデータベース化はできるだけ早目に終わらせ、申請計画に記した「使役」と「勧誘」両語法における「義務」・「許可」・「意志」のモダリティ特性を詳しく見ていく予定である。「使役」概念については、目下、hatanとこれに接頭辞が付加されたgehatanおよびbehatanの語彙交代について、小論文の執筆を行っている。また「勧誘」表現については、この概念自体をより広くとらえ直し、これと2人称に対する命令文との関連も調査する予定である。「勧誘」を表す「定動詞+we」という構文と命令文はいずれも定動詞が文頭にあるという点では共通するが、1人称と2人称という人称の違いがあり、別の構文と見なされる。こうした違いを、今年度の研究の中で他の研究者から得たコメントも元に、「勧誘」概念と言う枠組みの中でとらえ直す研究を行いたい。国外における研究活動が新型コロナウイルス蔓延の影響で制限される可能性はあるものの、国内でも一定量の資料を集めることは可能であるため、国内学会にて研究成果を発表できる機会を利用しながら、研究を積極的に進めていく。

Causes of Carryover

研究計画の遂行上、物品費のうち比較的高額となるものの購入を次年度に見送ることとした。また旅費につき、予定していた国内外出張の計画に変更が生じ、費用を調整する必要が生じた。物品費については次年度中に消費する目途を立てているが、予定よりも安価に物品を購入できる見込みもある。また旅費につき、次年度は国内外学会の開催が延期ないし中止となることがありうる状況下、場合によっては不要となる可能性もある。

  • Research Products

    (4 results)

All 2020 2019

All Journal Article (2 results) (of which Peer Reviewed: 1 results) Presentation (2 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results,  Invited: 1 results)

  • [Journal Article] On some formulaic uses of the Old English modal auxiliary willan2020

    • Author(s)
      Kaita, Kousuke
    • Journal Title

      Ihr werdet die Wahrheit erkennen: zum Gedenken an den Philologen Ewald Standop

      Volume: 1 Pages: 73-84

  • [Journal Article] The interplay of Old English modal auxiliaries cunnan and magan and their conjoined phrases2020

    • Author(s)
      Kaita, Kousuke
    • Journal Title

      Energeia

      Volume: 45 Pages: 39-59

    • Peer Reviewed
  • [Presentation] 古英語勧誘表現に伴うV1語順2019

    • Author(s)
      海田皓介
    • Organizer
      日本中世英語英文学会第35回東支部大会
  • [Presentation] Old English modal auxiliary willan: an adhortative candidate?2019

    • Author(s)
      Kaita, Kousuke
    • Organizer
      Guest lecture: Diachronic Linguistics and English Medieval Studies
    • Int'l Joint Research / Invited

URL: 

Published: 2021-01-27  

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