2020 Fiscal Year Research-status Report
近接未来表現カテゴリーの創発における競合と消失に関する実証的研究
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19K13230
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
渡辺 拓人 関西学院大学, 商学部, 助教 (00734477)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 近接未来表現 / 競合 / 近代英語 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和2年度は研究成果として次の1件を発表した:日本英語学会第38回大会口頭発表 「アメリカ英語におけるfixing toの発達」および同タイトルでの発表論文(JELS 38、148-154)。アメリカ英語に特徴的な近接未来表現fixing toについて、その用法の発達や、形式の違い(fixing to, fixin' to, finna)による差違について、The Corpus of Historical American Englishから収集したデータに基づいて先行研究の主張を再検討した。その結果、次の点が明らかになった。まず、「意思」から独立して純粋に文法化した用法が拡大し始めるのは1920年代以降であるが、現在でも「意思」の用法がメインである。また、fixin' to, finnaという音声的に縮約の進んだ形式ほど文法化が進んでいるとする先行研究の主張は確認できなかった。実際には、20世紀後半以降、頻度において優勢になるのはfixing toであった。この変化の背景には、アメリカ文学におけるアフリカ系アメリカ英語の表現法の変化など文体的な要素が考えられ、文法化とは別の問題と解釈するのが妥当である。 令和元年度の研究実施状況報告書において、令和2年度に刊行予定と記した論文は、新型コロナウイルス拡大の余波を受け論文集自体の刊行が遅れているが、令和3年度には刊行される段取りである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルス拡大の影響により、令和2年度に刊行予定としていた論文集の編集作業が遅れるなど、当初計画していた程には研究を進められなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
令和2年度の研究成果を元に、引き続きデータの収集や分析を行いながら研究を発展させ、可能な限り遅れを取り戻したい。たとえば、研究実績で挙げた論考ではfixing toのみに焦点を絞ったが、他の近接未来表現との比較にも繋げたい。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス拡大の影響で旅費の支出がなかったことにより残額が発生した。令和3年度は論文集の刊行等研究成果の公表、研究に必要な資料の購入等に助成金を充当する。
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