2021 Fiscal Year Research-status Report
近接未来表現カテゴリーの創発における競合と消失に関する実証的研究
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19K13230
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
渡辺 拓人 関西学院大学, 商学部, 助教 (00734477)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 近接未来表現 / 競合 / 近代英語 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和3年度は研究成果として次の1件を発表した:「近代英語における近接未来表現の出現と拡大」(近代英語協会第38回大会シンポジウム「周辺表現はどのように英語標準化時代を生き抜いたのか―3つの事例から考える」、2021年8月)。まず、16世紀以降の文法書(ラテン語、英語)の記述をたどり、そこに現れる近接未来表現を調査した。そこで主に用いられる表現はbe going toとbe about toの2つであるが、18世紀前半までは後者が標準的で、前者は例外的あるいは非標準的であった。18世紀後半からbe going toへの言及が増えるようになり、19世紀からはこちらの方が標準的になる。この背景としては、MurrayやWebsterといった影響力の大きい文法書にbe going toが記載されたことも考えられる。ついで、この変化が生じた18世紀から19世紀に焦点を絞り、各種コーパスやデータベースを用いて異なるレジスター間での用法の差違を調査した。その結果、話し言葉ではbe going toが初期から高頻度で、be about toよりずっと多く用いられていたことが分かった。書き言葉では、be going toは小説など話し言葉寄りのテキストから拡大していったこと、学術文書や聖書など書き言葉性の高いテキストではbe about toが一貫して優勢であったことも明らかになった。文法書の記述と実例の調査を通じて、これら2表現の競合関係、そしてbe going toの拡大には、レジスターによる違いが関わっていると結論づけた。 令和2年度の研究実施状況報告書において、令和3年度に刊行予定と記した論文は、新型コロナウイルス拡大その他の事情により論文集自体の刊行が遅れている。令和4年度には刊行することを目指している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
令和3年度も新型コロナウイルス拡大の影響が続き、特に年度内に刊行予定としていた論文集については関係者との密な連絡が取りにくいなどの理由で刊行が先延ばしになっており、当初計画していた程には研究を進められなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究成果を元に、引き続きデータの収集や分析を行いながら研究を発展させ、可能な限り遅れを取り戻したい。たとえば、令和3年度の研究成果は口頭発表にとどまるので、この内容をもとにした論文執筆を視野に入れて研究を進めて行きたい。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス拡大の影響で旅費の支出がなかったことにより残額が発生した。令和4年度は論文集の刊行等研究成果の公表、研究に必要な資料の購入等に助成金を充当する。
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