2023 Fiscal Year Research-status Report
近接未来表現カテゴリーの創発における競合と消失に関する実証的研究
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19K13230
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
渡辺 拓人 関西学院大学, 商学部, 准教授 (00734477)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 英語史 / 近代英語 / 文法家 / 定型表現 |
Outline of Annual Research Achievements |
渡辺拓人・柴﨑礼士郎(編)『英語史における定型表現と定型性』(開拓社;2023年7月)にて、全体の編集を行うとともに、「初期近代英語におけるbe ready toの近接未来用法―文法化と定型性の観点から」を分担執筆した。初期近代英語以降、be ready toの近接未来用法が結局は定着しなかった要因について、表現自体のイディオム性の弱さやreadyの形容詞的意義を強めるコロケーションの存在といった観点から分析した。
近代英語協会第38回大会(2021年8月)での研究発表「近代英語における近接未来表現の出現と拡大」に一部基づいて、"On the treatment of be going to and be about to in early grammars with particular focus on Late Modern English"『言語と文化』27, 25-40(関西学院大学言語教育研究センター;2024年3月)を執筆した。近代期の文法書の記述を分析し、そこで言及される近接未来表現が、18世紀半ば以降、be about toからbe going toへシフトしたことを明らかにした。その背景には、影響力のある文法家によるbe going toへの言及や、19世紀以降の文法家たちの話し言葉への関心の高まりが考えられることを指摘した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2022年度までコロナ禍や校務の増加により滞っていた研究成果の発表を、2023年度には行うことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度は最終年度でもあるため、本研究課題の名称に用いている「競合と消失」について一定のまとめを行いたい。具体的には、2023年度に発表した内容に基づき、be going toとbe about toの文法書における扱いの変化を実際のデータから見直すことや、近代後期のbe ready toの用法を追跡することを視野に入れている。
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Causes of Carryover |
2023年度まで、コロナ禍を経た後、各種校務が重なって研究時間が十分に割けなかったこともあったため、研究期間を延長し、残額を2024年度の研究活動に充てたい。特に、研究発表に関わる旅費や論文執筆に必要な費用への充当を見込んでいる。
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