2022 Fiscal Year Research-status Report
戦前・戦中のタイにおける日本語普及―バンコク・チェンマイ・コタバルの日本語学校
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19K13240
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Research Institution | Tokyo University of Social Welfare |
Principal Investigator |
山口 雅代 東京福祉大学, 教育学部, 准教授 (60763795)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 日本語教育史 / チェンマイ日本語学校 / 南機関 / ボルネオ・カンパニー / コタバル |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度・2021年度と海外で調査を行うことができなかったが、2022年度は、2023年3月4日(土)から16日(木)まで、タイのチェンマイ・バンコクとマレーシアの旧タイ領コタバルで調査を行った。特にコタバルは、2019年度調査時には外務省の危険情報レベル3であったため、行くことを控えた。今回、レベル1であったため、調査を行った。 チェンマイでは、以前研究協力者に田中盛之助の孫娘への聞き取りを依頼し、兄弟・姉妹がチェンマイ日本語学校に通っていたという報告を受けた。再度聞取りを行った結果、兄弟・姉妹と一緒にチェンマイ日本語学校に行ったことがあるという証言を得、チェンマイ日本語学校の跡地に出向き、建物の形状を確認した。バンコクでは、日本人会図書館で資料検索を行った後、日本軍が駐屯した場所を歩いた。現在、日本大使館がある場所は、日本海軍の武官室があった場所であった。コタバルでは、戦争資料館で戦争に詳しい人を紹介していただき、聞き取りを行った。その後、調査に同行し、協力していただいた。今後は、持ち帰った資料や音源を分析していく。 2022年度に発表したものは、次の3点である。1点目は、これまでの調査をまとめ、日本タイ学会で「戦時下のチェンマイにおける日本軍と日本語教育:聞取り調査から」として発表した。2点目は、本研究の課題4「日本語教師の中に諜報工作に従事した者はいたのか」について、国立国会図書館の資料を精査し、「東亜経済調査局附属研究所卒業生(大川塾生)のタイでの活動-日本語教育・日タイ文化会館との関係について-」で調査報告として『新世紀人文学論究』で発表した。大川塾生は、ビルマとベトナムで短期間日本語教育に従事していた。3点目は、北部タイ日本語日本研究大学コンソーシアムにおいて「これまで日本語教育に従事して-チェンマイとの関わり-」でチェンマイ調査について発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
主な原因は、コロナ禍にあり、2020年度・2021年度の2年間海外で調査を行えなかったことによる。2022年度はチェンマイ・バンコク・コタバルで調査を行ったが、課題が残された。また、初めて訪れるコタバルでは、コタバル日本語学校の場所を特定することができなかった。聞き取りを行ったが、コタバル日本語学校があったことすら知られていなかった。当時を知る年配者が少なくなってきていることと、日タイ文化会館分校としては短期間しか開校していなかったことによると考えられる。協力者に依頼したが、どう場所を特定すればよいか、調査方法を考える必要が出てきた。
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Strategy for Future Research Activity |
チェンマイ・バンコク・コタバル調査で持ち帰った資料や音源を精査し、発表していくつもりである。課題として、チェンマイ日本語学校についての写真を確認することが残された。これは、研究協力者にお願いした。コタバル日本語学校については、協力していただいた方に引き続き、調査していただくよう依頼した。
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Causes of Carryover |
チェンマイ・バンコク・コタバルの調査で、持ち帰った資料や音源がある。タイ語の資料は、翻訳作業を行わなければならない。また、音源に関しては、スクリプト作成やタイ語から日本語への翻訳作業が必要となる。他にも、チェンマイやコタバルに残してきた課題については、研究協力者や協力者にお願いした。そのための調査について考えていかなければならない。
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Research Products
(3 results)