2021 Fiscal Year Research-status Report
中国人日本語学習者の習熟度別作文コーパス構築及び母語転移に着目した習得実態の研究
Project/Area Number |
19K13242
|
Research Institution | Meisei University |
Principal Investigator |
趙 海城 明星大学, 人文学部, 教授 (90595084)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 中国人学習者 / 作文コーパス / 副詞・複合助詞・補助動詞 / 過剰使用語 / 過少使用語 / 特徴語 / 誤用要因分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、中国人日本語専攻学生を対象に習熟度別作文コーパスの収集とコーパス構築を行うとともに、中国人学習者の日本語習得プロセス、誤用の実態及びその要因、普遍的に抱える学習困難点の解明を実証的に行うものである。本年度は作文データの収集準備作業と、学習者の産出語彙の分析を行った。 1.日本語母語話者作文データの収集、習熟度別作文データの収集準備作業 (1) 参照コーパスとして、日本語母語話者の作文データの一部を収集した。(2) オンラインで中国人大学生の作文収集作業を依頼し、収集を進めている。
2.学習者の産出語彙分析、日中対照分析 コロナの影響で学習者の日本語作文データを収集できなかったが、中国人日本語学習者の日本語産出の特徴を探るため、以下の研究を行った。(1) 「JCK作文コーパス」「YNU書き言葉コーパス」を対象に、特徴度指標を用いて、日本語母語話者・韓国語母語日本語学習者と比較しながら、中国人日本語学習者の過剰使用副詞・過少使用副詞、特徴語について検討し、東アジア言語文化学会第2回大会で研究発表を行った。(2)三つの学習者コーパから複合助詞「にとって」の産出データを抽出し、中国語母語日本語学習者と日本語母話者の使用実態を観察し、両者の運用面での異同点を比較し、中国語母語日本語学習者の誤用状況、誤用の原因について探り、第13回日本語教育と日本学研究国際シンポジウムで研究発表を行った。(3)日本語母語話者と学習者の「てしまう」「ちゃう」の使用傾向を比較分析し、前接動詞、後続形式という視点から、学習者の母語・環境別、習熟度(SPOT得点)別の使用特徴を探り、所属先の大学紀要に論文投稿した。(4) 中国人日本語学習者の誤用を手掛かりに、日本語の「品質」と「質」、「勉強」と「学習」の異同点を分析し、《日語名詞的偏誤研究 下》にそれぞれ投稿した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本年度も新型コロナウイルスの影響で、中国の大学はオンライン授業となったり、学期末を早めたりしたため、大人数の学生への呼びかけ、注意事項説明などができなくなり、作文データ収集は予定通りに進めることができなかった。
|
Strategy for Future Research Activity |
データ収集のための中国渡航は当面できないが、現地協力者と打ち合わせを行ったうえで、作文データ収集を依頼している。今後はオンラインで速やかに作文データを収集していきたい。 今後の研究の推進方策として、2022年度は主に以下のことを予定している。 (1)高年次の日本人学生120名(20名×6テーマ)より作文データを収集する。 (2)中国の調査協力者の協力を得て、中国の大学で1~4年生の日本語作文データ収集を行う。 (3)収集した作文データの分析を行い、学会発表及び論文投稿を行い、研究成果報告書を作成する。
|
Causes of Carryover |
日本人大学生高年次120名、中国日本語専攻の大学生1~4年生640名を対象に作文データを収集するための謝金、また現地の協力教員、アルバイト学生への謝金として1,900,000円を計上する。 また、日本語レベル判定試験J-CATの受験料として、1名あたり1,000円が必要で、中国日本語専攻大学生640名分(受験したものの、途中で止めて作文データを提出しないと予想される欠損値40名を見込む)の受験料として680,000円を計上する。 学会発表出張、報告書作成費用として100,000円を計上する。
|