2020 Fiscal Year Research-status Report
在外教育施設を離れて日本語を学ぶ子どもたちの日本語習得の実態に関する研究
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19K13243
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
本間 祥子 日本大学, 国際関係学部, 助教 (00823717)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 年少者日本語教育 / 海外子女教育 / 在外教育施設 / 日本人学校 / 補習授業校 / 継承語教育 / シンガポール |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、日本人学校や補習授業校といった在外教育施設に「通うことができなかった」「通うことを選択しなかった」「通うことをやめてしまった」子どもたちの日本語習得の実態に着目する。そのために、子どもの成長を一番近くで見守ってきた親と子ども本人へのインタビューをとおして、以下の三点を明らかにすることを目的としている。(1)子どもたちは、これまでどのように日本語を学んできたか。(2)日本語との関わりは、子どもたちの成長において、どのような意味をもっていたか。(3)子どもたちの親は、わが子の日本語学習をどのように見守ってきたか。以上の点を明らかにすることにより、今後子どもたちへの日本語教育は何をめざし、どのようにおこなわれるべきなのかを提案する。 本年度は、昨年インタビュー調査に協力してもらった子どもたちへの追跡調査をおこなった。大学進学を果たした2名の子どもへのインタビュー調査では、幼少期にどのような日本語教育が必要だったのかを、当時の教員であった調査者と子どもたちとが一緒に考えることを試みた。また、複数の在外教育施設に勤務した経験をもつ教員(現在は日本国内の学校に勤務)へのインタビュー調査をおこなった。教員への調査では、複数言語環境で成長する子どもたちにどのように向き合ってきたのかを整理したうえで、今後の教員養成や教員研修にどのような視点が必要なのかを検討した。さらに、調査者自身の教育実践を改めて振り返り、その成果と課題をまとめることにも取り組んだ。結果として、従来のように日本語学習を継続することこそが成功と考えるのではなく、日本語学習から一度離れようとする子どもの考え方をも子ども自身の選択として肯定的に捉えていくことの重要性が見えてきた。以上の研究成果は、学会や学術誌にて発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染拡大の影響により、本年度予定していた海外の教育機関の視察と、海外在住の子どもたち、保護者、教員らを訪問しての追跡調査が実施できなかった。そのため、計画をやや変更し、日本国内やオンラインなどの実施可能な方法でインタビュー調査をおこなった。大学進学を果たした子どもへのインタビューでは、進路選択において考えたことを中心に語ってもらった。また、教員への調査では、今後の教員養成や教員研修にどのような視点が必要なのかをオンライン上で共に検討する試みをおこなった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も新型コロナウイルス感染拡大の影響が続くことが予測されるため、調査協力者とよく相談のうえ、状況に応じてオンライン等の実施可能な方法でインタビュー調査を継続する。2年間のインタビュー内容を協力者と一緒に振り返りながら、日本語習得・学習について現在どのように考えているのかをまとめていく。また、これまでの研究成果を整理し、今後子どもたちへの日本語教育は何をめざし、どのようにおこなわれるべきなのかということについて学会や学術誌で発表する。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染拡大の影響により、予定していた海外での調査(教育機関の視察と海外在住の子どもたち、保護者、教員らを訪問しての追跡調査)がすべて中止となったため。調査協力者と相談のうえ、日本国内での調査やオンラインでの調査など実施可能な方法で継続する。また、これまでの調査から得られた知見をまとめ、学会や学術誌での発表を引き続き実施する予定である。
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