2021 Fiscal Year Research-status Report
留学生獲得を目指した産学官連携による支援施策の課題
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19K13246
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Research Institution | Osaka Sangyo University |
Principal Investigator |
春口 淳一 大阪産業大学, 国際学部, 准教授 (70461605)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | エンロールメント・マネジメント / 産学官連携 / 留学生政策 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度からスタートした本研究は、2021年度に最終年度を迎えた(だが、研究進捗の遅れから、1年の延長を申請した)。その主たる目的は、高等教育機関で受け入れる留学生の獲得・支援を産学官が連携することでどのような特長を認められるか、また課題を指摘できるか、現地でのフィールドワークを中心とする調査活動によって検証することにある。エンロールメント・マネジメントの視点に立って分析することで、よりよいあり方に向けた提言にまとめることを目指す。 2021年度も前年度同様、新型コロナウイルスの影響を受け、新規調査は思うようには進まなかった。特に経済界からの声を求めて、アポイントまで取り付けった現地企業の社長との面会を、見送ったのは残念であった。しかし、20年11月にはかねてからの希望していた離島での調査を、短期間ではあったが実行できた。これをきっかけに、さらに同町役場に勤務する人物の紹介を受けるなど、今後に向けてのネットワークを拡大させているところである。 21年度実績としては、『大阪産業大学論集人文・社会科学編』42号に投稿した論文「地域を挙げての留学生支援事業への不満と期待-最前線に立つ大学職員の声を中心に-」が2021年7月に発行された。そして、2021年9月には博士論文(2016年7月提出)を基に、本調査の成果も一部盛り込んで加筆・再編した単著『小規模大学の留学生政策-エンロールメント・マネジメントと日本語教育の可能性-』を早稲田大学出版部より出版したことが挙げられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルスの流行の波の合間に、一部の現地調査を実行することはできたが、全般的には、立てたスケジュールを見送らざるを得ないことも度々であった。 留学生の受け入れ自体が全国的に断絶・停滞を余儀なくされる中、当初の計画にあった直接的な留学生獲得・支援自体が調査の対象とは成りがたくなった部分もあり、アフター・コロナに向けた海外機関との関係構築など、大学を軸とした間接的な取り組みにむしろ視点が移ったともいえる。 21年度に実施できた新たな調査は限定的ではあったが、20年度までの研究成果を活用し、単著を出版するに至ったことも踏まえ、研究の進捗についての自己評価は「やや遅れている」としたい。
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Strategy for Future Research Activity |
研究期間1年を延長し、2022年度を改めての最終年度とした。これまでコロナの影響を受けて積み残していた調査を積極的に実行に移したい。 まずは上半期において、昨年度に行った離島での調査成果に基づき、論考にまとめる。主として、言語景観などの観点から留学生の研修地としての可能性について論じる。 調査対象エリアの産業界より研究協力を取り付けているインフォーマントへのインタビューも上半期のうちに実現させ、その成果をまとめることを下半期の目標とする。あわせて今後の研究への足掛かりとして、同社で働く外国人従業員へ協力者を拡大するきっかけにもしたい。 またかねてから調査の支援を得てきた対象エリアの大学での調査もコロナ以降、直接の訪問は控えてきたが、コロナ禍においての留学生獲得事情を改めて聴取するため、今年度中の訪問を実現させる。アフター・コロナを見据えて、海外協定機関との間でどのようなやりとりを行ってきたのか、オンラインでの授業提供と実留学との兼ね合いなど、今後の留学生政策に向けての展望について、対象大学副学長をはじめ、留学生の受け入れ、支援に関わる同大学教職員の幅広く話を伺いたい。
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Causes of Carryover |
既に進捗状況でも述べたが、コロナの影響を受けて、現地へ赴いての調査が足踏みする格好となったためである。1年研究期間を延長し、繰り越した助成金を用いて、現地までの旅費と、インタビューデータの文字起こしなどに用いる予定である。特に2022年度上半期から積極的に出張計画を立て、協力者とスケジュールの調整の上、訪問を実現させる。
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