2019 Fiscal Year Research-status Report
Learning and Processing of Japanese Kanji Words by Vietnamese Learners of Japanese
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19K13250
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Research Institution | International Pacific University |
Principal Investigator |
長野 真澄 環太平洋大学, 次世代教育学部, 准教授 (40633699)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ベトナム人日本語学習者 / 漢越音 / インタビュー / 語彙判断課題 / 心内辞書 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,ベトナム人日本語学習者の母語の漢越音の知識が,日本語学習においてどのように利用され,また,日本語漢字単語の処理にどのように影響するか,について検討することを目的とする。その目的のもと,2019年度には以下の調査と実験を並行して行った。 まず,ベトナム人上級日本語学習者15名を対象として,インタビュー調査を実施した。目的は,ベトナム人上級日本語学習者が,上級に至るまでに日本語学習に漢越音の知識をどのように利用してきたかについて質的に分析することであった。個別に30分程度の半構造化インタビューを行い,対象者の日本語学習歴の中で漢字と漢越音の対応に気付いたきっかけや,漢越音知識を日本語学習に利用した経験の有無,そのメリットとデメリットについて尋ねた。 また,ベトナム人上級日本語学習者の漢字単語の処理過程を明らかにするために,心理学実験を行った。実験では,ベトナム人上級日本語学習者15名を対象とし,視覚呈示の語彙判断課題を採用した。日本語の漢字2字単語を実験材料とし,ベトナム語と元の使用漢字が同じか否か,また,漢越音と音韻が類似しているか否か,の2つを操作した。実験参加者には,コンピューター画面に1つずつ呈示される文字列が日本語の漢字単語であるかどうかをできるだけ早く正確に判断するように教示し,実験プログラムによって反応時間を計測した。単語材料による反応時間の差を分析することにより,漢越音の知識が日本語漢字単語の処理にどのように影響するかを検討する。 現在,上記の調査と実験の結果の分析と考察を行っている。これまで,ベトナム人上級日本語学習者を対象として同様の検討を行ったものは管見の限りみられない。上記の調査と実験により,ベトナム人日本語学習者の漢越音知識の影響について新たな知見が提供できると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
報告者の所属変更と,2019年度末からの新型コロナウイルス感染拡大の影響により,進捗はやや遅れ気味である。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の予定通り,今後は2019年度に実施した調査及び実験の分析と考察を進め,成果発表を行う。それと並行して,漢字単語の処理過程について,視覚呈示だけではなく,聴覚呈示による実験を行って検討する。
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