2020 Fiscal Year Research-status Report
小学校高学年児童の暗示的・明示的言語知識と英語運用能力の関係
Project/Area Number |
19K13255
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Research Institution | Hokkaido University of Education |
Principal Investigator |
内野 駿介 北海道教育大学, 教育学部, 特任講師 (80825456)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 文法知識 / 暗示的知識 / 明示的知識 / 小学校英語 / 実態調査 |
Outline of Annual Research Achievements |
3年間の研究計画の2年目である。本年度の主な研究実績は以下の2点である。 <2018,2019年度調査結果の複合的分析と結果の公表> 2018年度,2019年度末に実施した調査を複合的に分析し,結果を公表した。これらの調査においては児童の文法知識の発達を「はじめは丸ごと記憶して使用している表現のうち一部が入れ替え可能であることに気づくプロセス」と定義し,(a) I want [A]., I want to [B]., I want to be [C].の使い分け,(b) What [D] do [E] [F]?の2種類の表現を調査対象とした。公立小学校の5, 6年生を対象に文法性判断課題,空所補充課題,メタ言語知識課題を実施した。両方の調査に参加した76名の児童の,空所[A~C]に関するデータを主な分析対象とし,1年間の学習を通した児童の知識の伸びについて検討した。結果は概略以下の通りである。①児童の文法知識は小学6年生の1年間で伸長した。②空所の位置によって知識の習得度は異なる。③暗示的知識や手続き的知識を身につけている児童はメタ言語的知識を身につけている場合もあるが,規則の説明に文法用語はほとんど用いられていなかった。 <2020年度調査の実施> 2021年3月に,2019年度調査の協力校で調査を実施した。調査対象は2020年度の5, 6年生であり,調査内容は2018, 2019年度調査と同一のものであった。本調査の目的は次の2点である。①2018, 2019年度調査の比較から得られた傾向は,2019, 2020年度調査の比較においても再現されるか。②高学年の教科化により,児童の文法知識は質的に変化するか。これらの点について2021年度に分析を行い,結果を公表する予定である。なお,感染症の流行を受けて調査の実施は協力校の教員に依頼した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
(3)やや遅れていると判断する。 本研究課題の目的は小学生の明示的・暗示的文法知識の実態及びこれらの知識と英語運用能力との関係を明らかにすることであるが,明示的・暗示的知識の実態についてはこれまでの調査・分析によって概ね明らかにすることができたと考えられる。 一方で,文法知識と英語運用能力の関係については現時点ではまだ明らかにすることができていない。当初の研究計画では2020年度にこれらの関係性について調査を実施する予定であったが,感染症流行の影響により叶わなかったためである。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は文法知識と英語運用能力の関係についての調査分析を中心に行っていきたいと考える。ただし感染症流行の状況次第では新たに小学生を対象とした調査を実施することができない可能性もある。状況次第では過去の調査結果の再分析等による間接的な検討も視野に入れる。
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Causes of Carryover |
コロナウィルス感染症の流行拡大により当初参加予定であった学会が全てオンライン開催に変更されたため,旅費としての支出が0円となり次年度使用額が生じた。 繰越額については次年度予算と合わせて学会への参加のほか,研究結果の公表のために主に使用する予定である。
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