2020 Fiscal Year Research-status Report
間主観性と英語教育政策ーマクロ・メゾ・ミクロレベルの政策実践分析を通して
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19K13264
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
福永 淳 九州工業大学, 教養教育院, 准教授 (00787963)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 英語教育 / 言語政策 / 高等学校 / 談話分析 / エスノグラフィー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、高等学校教育の一教科としての英語教育の実践を、マクロレベルの政策、メゾレベルの政策実践指導者、ミクロレベルの政策実践者のそれぞれの視点から政策がどのように理解され実践されているのかを分析しており、それぞれのレベルで政策と実践がどのように影響し合っているのかを明らかにすることを目的としている。異なるレベルの政策と英語教育実践の関係を分析し考察することは、政策がうまく行かない原因や政策の実践に必要なリソースを明らかにすることができる。政策を変えること、引いては教育を改善することにつながるため、本研究には大きな意義がある。 令和2年度は、COVID-19の影響でフィールドワークを実施することができず、研究協力者への面接調査を中心に進め、質問用紙を使いオンライン会議ツールによる面接聞き取り調査を開始した。録音した聞き取りの書き起こし作業とコーディング・カテゴリー生成とキーワードの抽出を行った。ミクロレベルの英語教育実践者である高校の英語を担当する研究協力者の英語教育についての考え方や取り組みの分析と考察を進めている。また、談話分析アプローチに基づいて英語教育関連の政策文書のコーディング分析を進めた。面接調査データ分析結果と政策文書の分析結果を照らし合わせて考察を深め、学会での発表を行う予定である。この遠隔での面接調査は引き続き実施して、この状況の中で出来る限りのデータを継続して収集していく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
COVID-19の感染拡大のため4月から全国に緊急事態宣言が発令されたことに始まり、年度末まで県内および県を跨ぐ調査活動のための出張が実質的に行えず、質問用紙を使った面接調査および英語授業の参観といったフィールドワークを全く進めることができなかった。また、感染防止対策など従来の業務の他に様々な対応が必要となり多忙を極めるため、研究への協力に同意して頂いていた協力者からの辞退があり、新たに協力者を募る必要があった。現在も協力者を募っている状況であり、既に協力して頂いている研究参加者を通して紹介して頂いているが、研究内容や協力者の権利に関する説明を対面で行えないという制限がある。研究を進める上で大変厳しい状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年に施行される高等学校の新学習指導要領および現在審議中の英語教育改革に関連するマクロレベルの英語教育施策とを引き続き分析し整理していく。また、フィールドワークについてもオンライン会議ツールを利用し遠隔での面接聞き取り調査をさらに進め、データの分析を行なう。COVID-19の感染拡大による移動制限のためフィールドワークによるデータ収集ができない状況が続いているが、この間に政策の分析と国内外の学術文献の整理を進め、状況が好転したら直ちにフィールドワーク調査を開始する予定である。
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Causes of Carryover |
COVID-19の世界的な感染拡大が収束せず、国際学会での発表(8月開催予定、於チェコ・プラハ)と参加予定であった国内の研究会(3月開催予定、於東京)が中止となったことによる旅費の支出がなくなった。また、全国の緊急事態宣言の発令に加えて、居住県において度重なる蔓延防止対策法と緊急事態宣言の発令により、フィールドワークを予定していた地域を訪問することができず、出張旅費、フィールドデータ処理謝金が生じなかったためである。また、研究用図書を海外から取り寄せるように発注していたが、COVID-19の感染拡大の影響で入荷されずに購入できなかった。来年度は、引き続き、フィールドワーク及び学会発表の旅費、学会発表の旅費、研究図書の購入、フィールドデータ処理謝金などに支出していく予定である。
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