2019 Fiscal Year Research-status Report
Develop an effective English teaching method by utilizing machine translation--from a perspective of writing teaching
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19K13268
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Research Institution | Jobu University |
Principal Investigator |
佐竹 幸信 上武大学, ビジネス情報学部, 講師 (20815807)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 機械翻訳 / 英語ライティング指導 / 学習認知プロセス / モチベーション / 長期記憶 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は日本の英語教育における機械翻訳の利用可能性を探るものである。昨今の機械翻訳は、2010年代の人工知能の導入以来飛躍的な質的向上を遂げ、同時に英語教育への応用が不可避な状況となりつつある。こうした背景のもと、本研究は主として以下の5点を考察する:①機械翻訳を利用することで英語ライティング力は向上するのか、②機械翻訳を利用しない場合と比べてその程度はどれくらいか、③機械翻訳を使用した際の学習認知プロセスについて、④機械翻訳使用に対する情意的反応(モチベーション)について、⑤機械翻訳の利用が長期記憶にどのように働きかけるか。以上の点を考察するため、本研究では被験者(日本人大学生)を統制群(機械翻訳を利用しない英語ライティング学習を行う群)と実験群(機械翻訳を利用した英語ライティング学習を行う群)に分け、2019年度は統制群に対する調査を実施した。具体的には、被験者に対し3回にわたるライティング(日本語のビジネスレターを英語に訳す作業)を行ってもらった。1回目のライティングはフィードバックをつけて返却し、2回目のライティングでは、そのフィードバックを参考にしつつ1回目に類似したビジネスレターを英訳してもらった。約1か月後、3回目のライティングとして、今度は何も参考にせずに1、2回目に類似したビジネスレターを英訳してもらった。まだライティングのパフォーマンスを統計的に分析していないため、この一連の作業で被験者のライティング力がはたして向上したかどうかは何とも言えないが、作業後のアンケート及びインタビューの結果から、彼らが以前のライティングで違和感を覚えた点についてフィードバックをもらうことでさらにその部分の記憶が定着し、後のライティングに生かされていることが判明した。したがって、より効果的なライティング指導には、学習者が感じるこの違和感を大切にすべきことが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の予定では、2019年度は統制群の調査を実施することになっており、概ね予定通り調査を完了できた。一方、新たに得られたデータの分析(主としてアンケート及びインタビューのテキストマイニング分析。1~3回のライティングのパフォーマンスの評価・t検定による比較検討は2020年度に行う予定)が多少滞っているので、今後は実験群の調査と併せてそちらにも時間を割いていきたい。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の予定通り、2020年度は実験群の調査を中心に進めていく。具体的には、まず被験者に日本語(ビジネスレター)を提示し、それを機械翻訳で英語に訳してもらい、その訳された英語を参考に、最初のビジネスレターに類似した日本文(こちらで提示)を、今度は機械翻訳を使わず自分の力で英語に訳してもらう。約1か月後、1、2回目のビジネスレターに類似した日本語を再度自分の力で英語に訳してもらう。この一連の作業後、主に①機械翻訳を利用して英語ライティング学習を行った際の学習認知プロセス、②機械翻訳の使用に対する情意的反応(モチベーション)の2つの観点からアンケート及びインタビュー調査を実施する。調査後、統制群の調査で得られたアンケート及びインタビューデータと併せて、速やかにテキストマイニング分析を実施していく。 年度後半からは、統制群・実験群がそれぞれの実験において書いた英文について、ネイティブの評価者による分析的・全体的評価を実施していく。評価項目としては、①修辞的構成、②論理的連結性、③言語的正確さ(文法等)、④言語的適切さ(コンテクストに沿った言い回し)、⑤語彙、⑥スペル、⑦タスクの達成度(ビジネスレターで伝えようとする目的が達成されているか)の7点を想定している。これらの項目及び全体的評価を1~5点の評価法で評価する。その後、それぞれの群において1回目に書いた英文と2回目に書いた英文の評点、及び群同士の評点に関してt検定を実施し、それぞれにおいて有意的差異はあるか、あればどれくらいの差異なのかを検証していく。
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Causes of Carryover |
当初の予定より若干被験者数(統制群)が少なかったため、その分謝金が減り、次年度使用額が生じた。2020年度の全体の助成金(200,000円(翌年度分として請求した助成金の金額)+9,080円(次年度使用額)=209,080円)の使用予定内訳はおおよそ以下の通り:実験群のライティングに対する謝金(30名×2回のライティング×1,000円(時給)=60,000円)、実験群のインタビューに対する謝金(15名×500円=7,500円)、3名のネイティブによる統制群のライティング評価に対する謝金(3名×60(ライティング数)×500円(ライティング1枚単価)=90,000円)、論文執筆の際の英文校正料(51,580円)
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